
「ストッパーから配置転換された大勢には隙が出る」中日の井上監督が沖縄で“予言”していた巨人大勢の“死角”…3点を奪い今季初黒星をつけてGの勝利方程式を破壊
沖縄キャンプでのRONSPOの独占インタビューで、井上監督は、巨人に“強奪”されたマルティネスの移籍により、ストッパーからセットアッパーへ配置転換される大勢に“死角”が生まれることを指摘していたのだ。
井上監督は「大勢という、あれだけのボールを持っているピッチャーがいながら、ライデル(マルティネス)を取るんだと?とびっくりした」と、総額60億円とも言われる、とんでもない大型契約をオファーして、マルティネスを引っこ抜かれた巨人の補強を嘆いた上で、こう続けた。
「確かに後ろ(ブルペン)は強力だなと思いますよ。名前をあげられると『そうだね、そうだね』となるが、そうさせないためにどうしたらいいかを考えています。地道にコツコツと野球をすることが増えるかもしれませんね。ただ大勢はこれまでと違って一番後ろを任されるピッチャーじゃなくなりますよね。じゃあ、どんなモチベーションで投げるのか、という問題が出てくるんじゃないですか。そこには隙が出ます」
ストッパー時代とは変わる大勢の微妙な心理に、井上監督は、つけ入る隙が出てくると考えていたのだ。
この日の攻略は、まさに大勢の自滅を誘い、そして制球に苦しむ大勢が、ストライクを取りにきたところをカリステが仕留めるという井上監督が、沖縄で予言していた通りの理想的な展開となった。
また9回を無失点に抑えた松山が、51試合目にして20セーブ目。リーグトップのマルティネスの数字に並んだ。大勢を攻略し、マルティネスに代わって守護神を任せされた松山が、その球界を代表するストッパーのセーブ数に並んだのも、どこか象徴的だ。
お立ち台に呼ばれた松山は、「ライデルは去年からの良いライバルであり、凄い選手。違うチームですが、僕はこういう凄い選手とセーブ争いができていることに感謝して今取り組んでいます」と胸を張った。
ただ井上監督は手放しに喜んでいるわけではなかった。
「松山を出さずに勝つというのがいい。意気に感じて、何連投でもします、というので助かっているが、20セーブするのが早すぎる。登板過多には目を光らせ気を配りたい」
戸郷の立ち上がりに上林が盗塁を失敗した後に2年ぶりの岡林のアーチが飛び出すなど、チグハグな攻撃や、7回無死一塁からカリステがバントのサインを全うできないなど、相変わらずミスも目立った。だが、昨季は、9勝15敗1分と大きく負け越した巨人に1年ぶりのカード勝ち越しを決めて、連勝で借金を3まで減らして交流戦に突入できることは大きいだろう。
井上監督が自然と笑みを浮かべる。
「いかがも何も気分はいいですし、来週から交流戦が始まるんで、いい形で前半戦をしめくくってくれた。パ・リーグは力のあるパワーピッチャーが多いので、普通に淡々とする試合では、まずもって勝てない。作戦を練りながら、全員野球で、何かしらの働きのピースとなってもらって全員で勝ちたい」
3日から始まる交流戦の最初のカードは福岡に乗り込んでのソフトバンク戦だ。