
「彼は試合中に故意にレッド&イエローカードを受け取りオンライン賭博の結果を操作していた」サッカー豪州リーグ所属のMF檀崎竜孔がスポーツ賭博の“八百長”加担の疑いで逮捕・起訴
海外でのスポーツ・ベッティングでは、サッカーの場合は勝敗やスコアだけでなく、最初に得点する選手やイエローカードの枚数など、試合中のあらゆる事象が対象になる。今回は檀崎容疑者が受けた2度の警告が捜査対象となり、オーストラリアサッカー協会が捜査に全面的に協力したなかで、5月30日に逮捕されたという。
宮城県名取市で生まれ育った檀崎容疑者は、小学生時代はベガルタ仙台のジュニアでプレー。全国中学校サッカー選手権を制した青森山田中学に憧れて地元を離れ、卒業後にそのまま進学した青森山田高校ではすぐにレギュラーを獲得。1年生の冬に行われた全国高校サッカー選手権で、同校の初優勝に大きく貢献した。
3年生では背番号「10」を託され、さらにキャプテンにも就任。すべてを背負わせるのは、重圧がかかりすぎると見た黒田剛監督(55、現・FC町田ゼルビア監督)の計らいで、開幕直前にキャプテンを別の選手へ譲った全国高校サッカー選手権でも攻撃の中心を担い、チームを2度目の全国制覇へ導いた。大会では5試合で4ゴールをマークし、流通経済大柏(千葉)との決勝では同点、逆転の2発を決めている。
卒業後の2019シーズンにJ1の札幌へ加入すると、翌2020年秋にAリーグのブリスベン・ロアーへ期限付き移籍。公式戦で26試合に出場して9ゴールをあげる結果を残したが、2021年7月の札幌復帰後はなかなかチャンスを得られず、J2のジェフ千葉、ブリスベン・ロアーと期限付き移籍を繰り返した。
2023年1月には札幌を退団して、スコットランド・プレミアリーグのマザーウェルへ完全移籍。ここでも公式戦出場がわずか4試合にとどまると、同年7月にはウェスタン・ユナイテッドへ完全移籍。公式戦29試合で4ゴール9アシストの結果を残し、チームをリーグ戦で3位に導いて今シーズンを終えたばかりだった。
攻撃の中心を担った一人である檀崎容疑者の逮捕及び起訴を受けて、ウェスタン・ユナイテッドは2日に公式サイトを更新。文中に檀崎容疑者の名前などの固有名詞を記さない形で、次のような緊急声明を発表している。
「私たちウェスタン・ユナイテッドは、先週末に所属選手がギャンブル関連の罪で起訴されたことを知り、ショックを受け、失望しました。私たちはこの問題を深刻に受け止め、クラブとゲームの健全性を損なうすべての行動を非難し、すべての関連当局に全面的に協力しています。事件の性質上、これ以上コメントすることはできません」
檀崎容疑者は逮捕されたもう一人の男性とともにすでに釈放され、7月末にメルボルンの裁判所へ出廷する予定になっているという。国内外で問題視されているオンラインのスポーツ賭博に、実質的な八百長行為を働く、衝撃的な形で関与していた疑いが持たれた檀崎容疑者は、司法の場でどのように審理されていくのだろうか。