• HOME
  • 記事
  • 格闘技
  • 「本当に勝てると思っていた。敗因は技術の差」5回失神KOの佐々木尽は“オオカミ少年”だったのか…再起会見で明かしたノーマン戦の3つの誤算と世界に「追いつける」とした根拠
佐々木尽がWBO世界ウエルター級王者のノーマンに5回KO負けした6日後に再起会見を開く
佐々木尽がWBO世界ウエルター級王者のノーマンに5回KO負けした6日後に再起会見を開く

「本当に勝てると思っていた。敗因は技術の差」5回失神KOの佐々木尽は“オオカミ少年”だったのか…再起会見で明かしたノーマン戦の3つの誤算と世界に「追いつける」とした根拠

 “失神KO”で日本人初のウエルター級世界王者となる夢を果たせなかった佐々木尽(23、八王子中屋)が25日、都内で会見を行い再起宣言した。佐々木は19日にWBO世界ウエルター級王者のブライアン・ノーマン・ジュニア(24、米国)に挑んだが3度ダウンを奪われて5回TKO負けを喫していた。失っていた記憶も戻った佐々木は、「相当の差があるように見えるかもしれないが今回味わったものを吸収すれば追いつける」と“超ポジティブ”に語った。だが、世界とのレベルの差は歴然で再挑戦の可能性は閉ざされたのが現状。評価を上げるため、陣営では将来的な海外進出計画も検討している。

 「プランが崩され雑に打ち合ってしまった」

「絶望と希望」
 中屋一生会長が大型スクリーンに映し出した会見のイメージ画像には大きな文字でそう書かれていた。
「一緒に歴史を変えましょう」
 36年ぶりの国内開催となるウエルター級の世界戦リングに佐々木は、事前に吹き込んだメッセージを場内に流してから入場した。だが、そこで待っていたのは、5回失神TKO負けという「挫折」である。 
 世界戦決定の会見では「むちゃくちゃ勝算がある」と語り、前日計量後のフェイスオフを終えた後には「オレの方が動物として強い」「勝率は100%。負ける気がしない」などと豪語した。ボクサーの会見で「自信がない」なんて言うファイターはいない。
 だが、あまりにも度が過ぎると、こういう結果を突きつけられたとき、そこに発言の責任が生まれてくる。それらの発言は、自己暗示だったのか。それともオオカミ少年だったのか。
 佐々木は「本当に勝てると思っていた」という。
「リングに上がっても勝てると思っていた。(1ラウンドに)ダウンをもらうまで、勝っていると思った。パンチをもらってダウンを取られたが、面と向かって“これはいけるな”というのがずっとあった。でも負けてしまった。これがボクシングだなと思いましたね」
 3つの誤算があった。
 一つ目は第1ラウンドに左のフックをカウンターで食らった2つのダウンだ。
「最初のダウンは自分のミス。攻撃しようとして途中で止まった。その瞬間、カウンターが見えない角度からきて側頭部、急所に当たって効いてしまった。プランが崩されてムキになって雑に打ち合って、またカウンターをもらって(2度目の)ダウンをとられた」
 2度のダウンのダメージは2ラウンドに入っても残っていた。
「ダメージは残っていた。足に力が入らなかった。ふわふわした感じで効いていた。(こちらのパンチが当たってもダメージを与えられなかったのは)効いていた影響」
 今回は、世界基準に沿って日本で採用されている10オンスではなく8オンスのグローブが使用された。
「最初のダウンは8オンスだから効きが深かった」という。
 フィニッシュブローとなった5ラウンドの左フック「パンチもらった瞬間に記憶が飛んでいる。あそこは覚えていない」と付け加えた。
 そして2つ目は用意したスピードジャブが通用しなかったことだ。
「ジャブで差し勝って崩していき、そこで右を入れたり、左を入れる作戦だった。ノーマンよりもスピードがあると思っていた。でもディフェンス面で頭をずらしたり、足の位置を横にずらして打ったりしてきたのでパンチが当たり辛かった」
 トップクラスと行ったスパーリングでは通用していたが、ノーマンには通用しなかった。
 佐々木は、何度かロープを背負わせ、左フック、左ボディを叩き込んでいた。だが、「当たったように見えてもパワーはそこまで伝わっていない。これが世界か。ぱっと見てわからない上手さ、すごい学びがあった」と明かした。

 

関連記事一覧