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大谷翔平が元阪神のスアレスから"報復死球"受けるも神対応で乱闘を回避(写真・AP/アフロ)
大谷翔平が元阪神のスアレスから"報復死球"受けるも神対応で乱闘を回避(写真・AP/アフロ)

「平和の使者として品格示す」「トラブル時に味方でいて欲しい男」報復死球も乱闘危機を食い止めた大谷翔平の神対応を米メディアが絶賛…ロバーツ監督は元阪神スアレスを「意図的だ」と批判

 あわや乱闘騒ぎのドジャースとパドレスの両軍監督が退場処分となる大荒れのゲームで大谷翔平(30)のとった紳士的行動が称賛を浴びている。19日(日本時間20日)にドジャースの本拠地で行われたパドレス戦で9回にジャック・リトル(27)がフェルナンド・タティスJr.(26)の右手首に死球を当てたことで両軍がベンチを飛び出す騒ぎとなり両軍監督が退場。さらにその裏に9回二死三塁から今度は大谷が、パドレスの守護神で元阪神でプレーしていたロベルト・スアレス(34)に報復死球を背中に浴びたが、飛び出そうとしているベンチを手で制し、パドレスベンチに近づき談笑するなどして、本物の乱闘となる危機を食い止めた。なお試合はドジャースが3-5で敗戦。緊急登板の松井裕樹(29)がメジャー初セーブをマークした。

 エンゼルスの元同僚とも談笑

 

 大谷が大乱闘を回避させた。
 9回だ。この回途中登板のパドレスの守護神で阪神時代に最多セーブタイトルも獲得しているスアレスが二死三塁から大谷を打席に迎えてカウント3-0となった。点差は2-5。すべて外角球で、勝負を避けようとしているのがありありだったが、その4球目に突如、大谷の体に向かって99.8マイル(約160.6キロ)のストレートを投げ込み、その背中の右の肩甲骨の下あたりを直撃した。その瞬間、ドジャースのベンチは緊迫しクレイトン・カーショーはベンチのフェンスに足をかけて飛び出そうとしていた。だが、大谷はベンチに向かって左手をあげて、続いて右手をふって、”出て来るな”と、その動きを制した。
 警告試合が宣告されていた中での明らかな報復死球だった。
 9回一死からリトルがタティスの右手首に死球をぶつけたことで、パドレスのマイク・シルト監督が怒りの形相でベンチを飛び出してきた。これを見たデイブ・ロバーツ監督もシルト監督を罵りながらベンチを出たため大谷やブルペンにいる選手も含めた両軍の全選手がフィールドに飛び出し、ホームベース付近で約7分間にわたって睨み合うあわや乱闘の騒ぎとなった。審判は両監督に退場処分を下して、警告試合を宣告していた。
 両軍は、このシリーズの第1戦でドジャースのアンディ・パヘスが死球を受けて激怒したところから、遺恨が始まり、第2戦では両軍で3死球の大荒れとなり、大谷が明らかな報復死球を太腿に受けて、フィールドに飛び出したロバーツ監督が退場処分となった。そして第3戦で再びパヘスが死球を受け、この日の第4戦で大谷が受けた死球がシリーズで8個目だった。
 大谷の態度次第では、両軍に積もりに積もった遺恨が大爆発していてもおかしくなかった。だが、MVP男の冷静な行動が、最悪の事態を食い止めた。スアレスが退場となり、緊急登板となった松井が、投球練習をしている間、大谷はパドレスベンチへ近寄り、エンゼルス時代の同僚であるホセ・イグレシアスと笑顔で談笑しフィールド内に漂った不穏な空気を和ませた。イグレシアスも、このシリーズで死球を受けた一人だった。さらに一塁ベースに戻ると、昨シーズンは最後まで、首位打者を争ったルイス・アラエスと何やら笑いながら話をして握手もした。結局、それ以降、トラブルが起こることはなく、ドジャースは、松井から四球と暴投で1点を奪うも3-5でゲームセット。メジャー2年目の松井に初セーブが記録された。
 MLB公式サイトによると、ロバーツ監督は、「大谷への死球は意図的か?絶対だ。カウント3-0だぞ。右投げの投手がクロスに投げて(左打者の)翔平にぶつけることは難しい。スアレスがこれまで何人の左打者に速球をぶつけたかも知らない。しかしその背景には明らかに意図があった」と猛烈にパドレスを批判した。MLB公式サイトの調べによると、スアレスがキャリアで左打者に与えた死球は、2022年の2つだけだという。
 そして「彼(大谷)は故意だと分かっていたと思う。でもケガもしていなかったし、これ以上騒ぎを大きくしたくなかったのだろう。彼(の行動)をすごく尊敬している」と大谷の行動を称えた。一方のスアレスはコメントを拒否したという。

 

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