
「金丸夢斗は開幕ローテーの計算に入れていない」中日の井上監督が評判の黄金ルーキーを開幕1軍構想から外した理由とは?
中日の井上一樹監督(54)の沖縄北谷キャンプでの独占インタビューの第4弾。4球団競合の末に引き当てたドラフト1位のルーキー左腕、金丸夢斗(22、関大出)の起用法について本音を明かした。
“黄金ルーキー”の評判がすこぶるいい。中日、阪神、巨人、横浜DeNAのセ・リーグ4チームが競合したが、井上監督が引き当てた即戦力のドラフト1位左腕だ。
キャンプは、2軍の沖縄・読谷スタートとなっているが、すでに4度ブルペンに入り、変化球も交えて、70%程度の力の入れ加減でピッチングを行うまで調整は進んでいる。
落合英二2軍監督は「方向性をつかむのがうまい。手を上げてきて、リリースポイントに持ってくる形もいい。何ひとつ無駄がない。直すところがない。ボール、ボールで崩れるピッチャーじゃない。(制球が)暴れることがないからね。打たれることはあっても自滅することはない。その感覚で見ている」と絶賛。井上監督も読谷を訪れて直接視察した。
ただ、現状はまだリハビリメニューを消化している状況。昨年の関大の春季リーグで腰痛が発症。秋は11試合に登板したが、先発は一度もなくすべて救援で15イニングに投げた。ただし、自責点は0。最速は150キロをマークして、防御率は0.00のままドラフトを迎えたわけだが、その腰痛の回復に万全を期すために、キャンプは2軍に入れ、対打者の実戦登板のスケジュールもまだ白紙のままで決して無理はさせていない。
井上監督は「開幕に照準を合わさせていない。僕の頭の中では開幕ローテーに金丸はないんです。金丸が入らないローテーを想定しています」と、ハッキリと開幕ローテーとして計算していないことを断言した。
「金丸も、投げろと言えば、投げられるし、間に合うとも思うんです。でも、あえてスローにさせている。最初が肝心。僕が肩を脱臼して取った宝(笑)。大事に育てたいんです」
井上監督はドラフト会議で、金丸を引き当てた際に、喜びの余りガッツポーズに力を入れ過ぎて、まさかの肩を脱臼するというアクシデントを起こしてしまっていた。
昨年はドラフト1位の草加勝がキャンプイン前にトミー・ジョン手術を余儀なくされた。中日だけでなく阪神のドラフト1位の下村海翔も怪我で1年目は戦力にならず、2球団が競合した広島の常廣羽也斗もシーズン終盤にようやくマウンドに立つなどm大学時代の酷使が影響してか、のきなみ即戦力で獲得したルーキーが故障で戦力にならなかった。
それらの例があるだけに、井上監督は、将来的にドラゴンズのエースとなるべき逸材を開幕に間に合わせるためだけに無理をさせて潰したくないと考えたのだ。
「昨年のルーキーでは、新人王を獲得した西武の武内君が素晴らしかった。10勝ですか?夢斗もシーズンを通して投げれば、あれくらいはできると思う」
昨季、3球団が競合した西武のドラフト1位の武内夏暉は開幕からローテーに入り21試合に登板して、10勝6敗、防御率2.17の成績を残した。打線が低迷して最下位に沈んだチームで存在感を示したが、井上監督は金丸に武内以上のポテンシャルを感じている。