
巨人マー君が2軍戦で14安打6失点の大炎上も辛口で知られる大物OBが「引退勧告」ではなく「田中は復活できるはずだ。涌井、岸の投球を学べ」と激励エールを送ったワケ
広岡氏は横浜DeNAの打者のタイミングがまったく崩されていなかったことを問題視した。147キロのストレートを使って、打者に恐怖を植え付け、ボールゾーンの変化球に手を出させる配球と、ストレートと変化球の違いを相手にわからせないようにするフォームの修正が重要だという。
そしてこう提言した。
「ちょうどいいお手本が今のプロ野球にいるじゃないか。中日の涌井と楽天の岸だ。持ち球の質自体は、田中とそう変わらない。2人は田中より年上だろう? 岸なんかストレートの球速は140キロそこそこなのに中日やヤクルトを手玉にとっていた。田中はあの2人から学ぶべし」
涌井はここまで7試合に先発して4勝2敗、防御率3.23の成績。交流戦でも11日の楽天戦、18日のオリックス戦と続けて5回を3失点にまとめて連勝している。出遅れたが5月14日のヤクルト戦、同23日の阪神戦では連続無失点に抑えていた。
岸も9試合に先発して4勝2敗、防御率3.59。12日の中日戦では7回被安打3無失点の好投でチームの連敗をストップし、19日のヤクルト戦でも7回被安打4無失点で4勝目をマークしている。涌井は最速で150キロをマークしているが、岸のストレートの球速は140から142キロ程度。それでも特徴であるカーブやチェンジアップをうまく織り交ぜて、打者に凡打の山を築かせている。マー君が学ぶべき姿がそこにあるのかもしれない。
辛口の広岡氏が「もう引退せよ」との最終通告を突きつけることなく、激励エールを送る理由は、「楽天で24勝0敗というとてつもない記録を作り、名門ヤンキースで2桁を6年連続で勝った田中は球界にとって宝なんだ」との思いがあるからだ。
リーグ戦再開を控えるチームは戸郷も2軍落ちするなどローテーに余裕はない。マー君の復活を誰よりも待ち望んでいるのは阿部監督なのかもしれない。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)