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阪神の熊谷が今季6度目のスタメン抜擢に応え全打点を一人で叩きだす大活躍で7連勝に貢献(資料写真・黒田史夫)
阪神の熊谷が今季6度目のスタメン抜擢に応え全打点を一人で叩きだす大活躍で7連勝に貢献(資料写真・黒田史夫)

「投手出身の監督は失敗することが多いが藤川に監督としての落ち着きが出てきた」球界大御所がやることなすことすべて成功で破竹7連勝の阪神指揮官を大絶賛

 投げては、デュプランティエが3安打完封した。8回で球数は94球。藤川監督は、9回にも打席に立たせて9回のマウンドに送り込んだ。
 その続投の判断も冴えていた。
 一死から桑原に対してボールがスッポ抜け、背中を向けて避けた右肩の下あたりを直撃した。頭部付近を襲った投球だったため、危険球退場の可能性もあったが、審判は死球としてそのまま試合を続行。デュプランティエは度会、佐野を連続三振に仕留めて、両手を夜空に突き上げ、108球での今季2度目の完封劇をやってのけた。
 阪神の新外国人投手が1年目に2度以上完封勝利したのは、2002年に10勝をマークしたトレイ・ムーア以来23年ぶりで、右投手に限れば、1987年の故・マット・キーオ以来、38年ぶりの快挙である。投球の約24%を占めるナックルカーブが有効的だった。4、5月の序盤戦には使っていなかったボールだが、空振り率は約23%。落差のあるそれはまさに魔球。ショートアーム全盛の最近の野球では珍しくテイクバックが大きく特徴のあるフォームだが、球持ちが長く打者はタイミングを取り辛い。しかも、そこに同じ腕の振りでナックルカーブをミックスされて緩急をつけられるとさらに対応が難しくなる。
 横浜DeNAの村田修一野手コーチは、「空振りを取れるボールが多く、追い込まれると三振率が高いのでそれまでに狙い球を絞って前にはじき返せるように。またゾーン内にどんどん投げ込んでくるので、後手に回らないようにこちらから仕掛けるイメージを持って進めていきたい」と、デュプランティエの攻略方法を語っていたが、三振が、9つに内野ゴロが11つ。いかに打者が差し込まれていたかを示す数字だ。
 相手の拙攻にも助けられた。3回一死一塁から大貫がバント失敗。4回にも先頭の桑原に二塁打を許したが、度会の捕手前のバントを坂本が三塁でアウトにした。
 球界大御所の広岡氏は、巨人への3タテを含む7連勝の快進撃を引っ張っている藤川監督の采配をこう評価した。
「藤川に監督としての落ち着きが出てきた。いつもベンチで腕組みをしてあまり動かないのがいい。ハッキリ言って投手出身の監督は、野球を知らんので失敗するケースが多く、私は岡田をわずか2年で退任させて、コーチ経験もない藤川に監督を代えた阪神のフロントに疑問を抱いていた。ここまでは佐藤を3番に据えてみたり、なんだそれは?という起用や采配も少なくなかった。だが、藤川は解説者としてネット裏からよく野球を勉強していたのだろう。ダメならすぐに修正するし、メジャーも経験して四国の独立リーグでも野球をやった経験が指揮官としてのマネジメントに生きている。もちろん岡田の築いた遺産があってこその今年だが、今の藤川の采配は悪くない」
 辛口の広岡氏にしては珍しく称賛の言葉が並んだ。広岡氏は、交流戦が終わった時点で「もう阪神が優勝だ」と予告している。
 ヒーローの熊谷が言う。
「7連勝はチームの力だと思っている。明日勝たないと意味ない。また明日勝って連勝を伸ばしていければいい」
 狙うは2カード連続の3タテでの8連勝。
 その先発マウンドには、復活してからは無敗で、6月29日のヤクルト戦で完封勝利をマークしている防御率0.39の左腕の伊藤将司を送り込む。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)

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