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  • 「原因を究明して打てる手はすべて打ちたい」ボクシング界は相次ぐ“リング事故”にどう向き合うべきか…2人が救急搬送されて開頭手術…EXILEのATSUSHIから激励メッセージ届く
ドロー判定を聞いた瞬間に挑戦者の神足茂利(左)はひざまずいた。この段階ではまだ意識はハッキリしていたのだが…(写真・山口裕朗)
ドロー判定を聞いた瞬間に挑戦者の神足茂利(左)はひざまずいた。この段階ではまだ意識はハッキリしていたのだが…(写真・山口裕朗)

「原因を究明して打てる手はすべて打ちたい」ボクシング界は相次ぐ“リング事故”にどう向き合うべきか…2人が救急搬送されて開頭手術…EXILEのATSUSHIから激励メッセージ届く

 またWBCが採用している「ボックスメット」というオンラインで体調を管理できるアプリの導入も検討。このアプリの登録を義務づければ、JBCで選手の減量の進行具合や体調などを一括で把握することができるという。
 昨年から再スタートさせた専門家を招いての医事講習会も引き続き開催する方向。水抜き減量の危険性を広く啓蒙するのが狙いだ。
 そして安河内本部事務局長が問題視しているのは「技術の問題」だ。
「オフェンス力の進歩が著しい。パワーアップと技術。4回戦の選手が、簡単ではない左フックの内訳やアッパーを打てるほどになっていますが、ディフェンス力の進歩がそこに追いついていません」
 さっそくプロテストではディフェンス技術のチェックを厳しくしたいという。
 レフェリングの問題もある。4日にも興行があったが、全レフェリーを集めて「危険だと思えば、すぐに飛び込んで下さい(TKOの宣告)」と指令した。
 プロボクシングは、ファンにチケットを買ってもらって成り立っている興行で、「早すぎるストップ」は、逆転のスリリングさを失うことになりかねない。難しい問題ではあるが、選手の安全の担保を最優先にする方針を固めた。
 そして早急に実行に移すことのできる再発防止策にも動く。
 ひとつは地域タイトルの規定のラウンド数の短縮。OPBF東洋太平洋の本部が現在日本にあるため「事故との因果関係はわからないが、ラウンド数が増えれば増えるほど危険度が高まることは確かです。WBC本部と日本プロボクシング協会の理解を得てすぐにでも12回から10回へ短縮したい」と安河内本部事務局長は言う。
 WBOアジアパシフィックに関しては、すでに10回戦で開催されているケースはあるが、「日本での開催は10回で統一できるように要請したい」という。
「伝統のある日本タイトルに関しては議論を深める必要はありますが」としながらも10回から8回に短縮することも議論したいという。
 ただ世界タイトルが、12回戦で行われる以上、ラウンド数を短縮すると、世界基準のボクサーを育てることに支障をきたす恐れがある。また10回戦で行われてきた日本タイトルの歴史的な重みを下げることにもなりかねない。
 事故撲滅の答えはない。しかし、実行できる策はすべて早急に実施せねばならないだろう。
 今は2人の回復を祈ることしかできない。
 神足の兄は、EXILEのATSUSHI氏と、清木場俊介氏(元EXILE SHUN)から、お見舞いの動画とボイスメッセージが届いたことを報告。面会で聴かせたいとした上で懸命に戦う弟にこう呼びかけた。
「シゲ、あのEXILEさんだよ!こんなキセキないよ。次はシゲがキセキ起こす番だよ」
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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