
え?5連続KO勝ちでも「不合格」って?次戦12月サウジで井上尚弥と競演浮上の20歳のアマ7冠“超ホープ”坂井優太が追い求める「パーフェクトボクシング」とは?
プロボクシングの「フェニックスバトル141」が21日、後楽園で行われ、大橋ジムのアマ7冠の超ホープ、前日本ユースバンタム級王者で日本同級10位の坂井優太(20)が54.5キロ契約の8回戦でヤン・チュンファ(32、中国)と対戦して5回2分47秒KO勝利した。デビューからのキャリアを5戦5KO無敗とした。それでも自己採点は「30点」。父でトレーナーの伸克さんは「不合格」と手厳しかった。次戦はスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(32、大橋)が参戦する12月27日にサウジアラビアで開催予定の「リヤドシーズン」への抜擢が有力視されている。

5回に左ストレートでフィニッシュ
タフな中国人も敵ではなかった。
5ラウンド。
「倒す気はなかった」という左ストレートでロープに吹っ飛ばして、一気にラッシュをかけると、ヤン・チュンファは崩れ落ち、青コーナーからタオルが舞った。
頬骨を打ち砕いた感触は残ったという。
それでも坂井に笑顔はない。
キャリア5戦5勝5KOのパーフェクトレコードをキープしたが、リング上で答えた自己採点は「30点」。
「ここでこんなに手こずっていては…」
ここまでの4試合はすべて2ラウンド以内の秒殺。8戦6勝(3KO)1敗1分けのノーランカーを相手に仕留めるまでに5ラウンドもかかったことが気に入らない。
控室に戻ると、父でトレーナーの伸克さんからは、何度も「不合格」という厳しい言葉が飛んだ。
「ダメです。練習でやってきたことがやれていなかった。足が動いていない。前の手も多彩じゃなく視野が狭かった」
1ラウンドから右のジャブでコントロールした。スピードが違った。独特のタイミングで打つ左のボディアッパーも強烈だった。
「ジャブで組み立ててボディにいく。効いていたんですが普通に戦ってきた。予想外だった」
2ラウンドには逆にプレスをかけられ、打ち終わりに右のフックのカウンターを浴びた。ダメージなどない、どうってことのないパンチ。しかも一発だけ。しかしその被弾が坂井のプライドを傷つけた。
「一発もらいましたね。(あのパンチに)気を付けるように言われていたが、被弾もあってよくなかった。レベルが上がるとやられる原因になる。そこが課題」
身長の低い相手にややクラウチングで対峙した。
「目線を下げて動く練習をしていたがそれができなかった」
常に右のカウンターを狙っていた不気味さに加えて、中国人は頭を下げて「打ちにいくところへ動く」傾向があったため、固い頭にパンチを放ち拳を痛めることが怖くて攻撃に躊躇した。実際、一発、頭を殴って拳に痛みも感じた。
途中コーナーで父が「8ラウンド判定でいいんじゃないか」と声をかけて坂井も覚悟していた。