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藤浪が移籍初勝利(横浜DeNAベイスターズ公式Xより引用@ydb_yokohama)
藤浪が移籍初勝利(横浜DeNAベイスターズ公式Xより引用@ydb_yokohama)

「7回好機に代打細川、ブライト温存はあり得ない」横浜DeNA藤浪晋太郎が「ピンチを楽しむ」メジャー流発想で移籍初勝利もSNSやネットは7回0封された中日の8人左打者を巡って賛否

 6回にも二死からボスラーに二塁打を許すも板山をカットボールで空振りの三振。得点を許さなかった。
 4回以降の再三のピンチを切り抜けた藤浪は興味深いコメントを発した。
「要所要所で苦しい場面があったんですけど、ああいうところを自分もマウンド上で楽しめていましたし、ああいう場面を抑えてこそプロ野球の醍醐味じゃないですけど、1番楽しいところ。お客さんも見ていて楽しいところだと思うので、そういう意味でしっかりと抑えれて粘れて良かったな」
 阪神時代の藤浪から「ピンチを楽しむ」などという言葉を聞いたことはなかった。これも2年半のメジャー挑戦で得た新しい発想なのだろう。マウンドでの豊かな感情表現もメジャーの経験がそうさせているのかもしれない。
 そして打差8人を並べてきた中日打線が藤浪を心理的に楽にさせたことは間違いない。1回、樋口に投じたこの日最速の155キロのストレートは、右へスッポ抜けていた。ロドリゲスへ危険なボールは1球もなかったが、右へスッポ抜けたボールは何球かあった。中日打線が完封されたこともあり、8人の左打者を並べた井上監督の采配にSNSやネットのコメント欄で賛否が飛び交った。樋口、大島、板山では打線に迫力に欠ける。
「勝負事なのに相手を楽にしてどうするねん」
「怪我を防ぐのはわかるけど余りにも過敏すぎる。それで負けてるし、勝つ気ないやん。プロ野球の試合としてどうなん?」
 批判的な意見の中では、特に1点を追う7回に大島、ロドリゲスの連打から作った一死二、三塁のチャンスに、シリーズ初戦で4安打を放った本来4番の細川、2試合連続で代打に成功している切り札のブライトを温存し、右打者ではあるが、打率.152の辻本を代打起用した采配に疑問が投げかけられた。
「あそこで細川、ブライト温存はありえない」
 辻本はセカンドフライに倒れ、続く岡林もサードゴロ。藤浪が「良い形で理想通りの打ち取り方ができた」と振り返った場面だ。
「スタメンの左打者ズラリはともかく代打出し渋りはファンとして納得できない」の声も当然か。
 中には「問題はぶつけられる危険性はあるけれども、絶対にこの試合に勝ちたいから出してくれと監督に進言する右バッターが一人も出てこないこと」という意見もあった。
 4連勝の中日は試合前の時点で3位タイで並んでいた広島、横浜DeNAに0.5差まで迫っていた。右打者の怪我を怖がる前に勝利に徹すべきではなかったか?という中日ファンの気持ちは理解できる。
 だが、一方で井上采配を支持する声も少なくなかった。
「ここで細川、田中、山本らが死球で骨折するのが1番最悪」「当たったらケガだけじゃ済まない恐れもある。なにより恐怖心で打席に立てなくなる。CSがかかっている大事な時期とはいえ、目先の1試合のために選手を矢面に立たせられない。 井上監督の判断に賛成」
 スポーツ各紙の報道によると、井上監督は、2試合続けて左打者を並べた采配が不発に終わったことについて「悔いはない」と語ったという。
「ロドリゲスになんかすごいボールがいったわけでもない。ただリスクを考えた時24試合が残っている。『あいつの時は右出せるか!』と言っているわけではなく『やっぱりそっちの方がいいであろう』というオレの判断の中でやったこと」
 藤浪が他球団にも登板して右打者への投球がチェックできれば参考になったそうだが、移籍後、2試合連続で中日戦登板となり「ちょっと悩ましいところではあった」ともいう。
 SNSやネットでは、前回の登板の4日後に藤浪を登録抹消し、ファームで調整登板をさせた上で、また左打者が並ぶことが予想され、藤浪の精神的な負担を軽くする中日戦にぶつけてきた三浦監督の采配についても、「勝ちへの執着が凄い」「2度続けて中日ってどうなん?」と賛否があった。
 藤浪は1回を投げ終えた時点で通算1000回投球を達成。場内アナウンスが流れ、それを称えるボードが手渡されたが、その際、中日ファンからはブーイングが飛んでいた。あえて中日に藤浪をぶつけてきた横浜DeNAへの抗議の意味を込めたブーイングだったのかもしれない。
 中6日で回るのであれば、藤浪の次回登板は7日の本拠地ヤクルト戦。中日戦は17日までないため、もう3度目登板を中日戦に合わすわけにはいかないだろう。三浦監督は果たしてどんな決断を下すのか。
 藤浪はハマスタのファンにこうメッセージを伝えた。
「後半からの加入なんで、どんな形でもチームに貢献できればと思っています。何でもやりますし、どんな形でも一生懸命に腕を振るので、これからも応援よろしくお願いします」
 横浜DeNAのCS出場の行方を握るキーマンの一人である藤浪は次戦で本当の真価を問われることになる。

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