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阪神の藤川監督が就任1年目で史上最速Vの美酒(資料写真・ロイター/アフロ)
阪神の藤川監督が就任1年目で史上最速Vの美酒(資料写真・ロイター/アフロ)

「正直、監督1年目でここまでやるとは…勝因は岡田の遺産と藤川の学びだ」93歳の球界大御所が阪神の史上最速Vを語る…「巨人を始め他球団が弱すぎた」

「投手出身の監督は野球を知らんというのが私の持論だ。それは藤川が勝ったといっても変わらない。ただ藤川の場合はちょっと違ったな。メジャーや独立リーグのマウンドに上がった経験が大きい。そこで人間としての幅が広がったのかもしれない。加えてNHKの解説者としてネット裏で野球を熱心に勉強したのだろう。その形跡は感じる。積極的に機動力は使ったが、岡田のように戦術的に”あっ”と言わせるような采配はなかった。でも逆にチームの力を空回りさせるような采配もしなかった。周囲のコーチがどうカバーしたかは知らないが、指導者経験がないことを、そういう評論家生活の学びで補った」
 辛口の広岡氏が珍しく藤川監督を評価した。
 先発は才木が12勝5敗、村上が11勝3敗でそれぞれ3連戦の頭を確実に取って貯金を作った。大竹(7勝3敗)、高橋遥(3勝0敗)も岡田政権で作ったローテー。そこに新戦力のドラフト1位の伊原(5勝7敗)‘、デュプランティエ(6勝3敗)が加わり、途中からは、復活した左腕の伊藤がローテーを守った。伊藤は防御率1.87で4勝1敗だ。このプラス部分は藤川監督の手腕だろう。
 ブルペンの柱は、及川、石井、岩崎の3人。60試合に登板した及川は防御率が0.94、石井は48試合連続無失点の日本記録を更新中で、岩崎も防御率1.69で31セーブ。及川は、岡田氏が使い始めた選手だが伸び悩んでいた。秋季キャンプでフォーム改造のヒントを与えて覚醒せたのが藤川監督だった。
 そこに病気を克服した湯浅、途中からは「経験があり安定板の仕事してくれている」と、藤川監督肝入りのドリスが出戻りし、フロントはシンカーが武器の新外国人のハートウィグを獲得した。
「序盤戦から回跨ぎや3連投をさせたりと、自らの抑え経験からか過保護もしなかった。だが、一方でペナントレースの長丁場を考えて、適度に休養も与えて、先発、中継ぎ共に主力に故障者を出さなかった。ダメならすぐに2軍に落とし、競争力を植えつけると共にできるだけ調子のいい選手をマウンドにあげる工夫をしていた」
 広岡氏は、藤川監督の投手操縦術については、一目を置いていた。
 打線に目を向けると、本塁打&打点の2冠を独走している佐藤、打点ランキングで2位につけ、決勝打が17試合もある森下の2人のブレイクも、藤川監督の手腕のひとつ。開幕は3番・佐藤、4番・森下でスタートしたが、結果が出ないと見ると、柔軟な思考と決断力で4月15日のヤクルト戦から3番・森下、4番・佐藤に組み替えた。
 6番以降は、選手を頻繁に入れ替えた。木浪が4月19日の広島戦で1試合3失策を冒すと、それを契機に小幡にチャンスを与え、これまでは”便利屋”にすぎながった熊谷にスポットライトを当てた。熊谷の得点圏打率は.355である。

 

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