• HOME
  • 記事
  • サッカー
  • 「負けていたらチームの雰囲気が一気に下がる」森保ジャパンが南米強豪パラグアイに土壇場で追いつき2-2ドローにした価値
上田綺世が終了間際に同点ヘッド(写真・スポニチ/アフロ)
上田綺世が終了間際に同点ヘッド(写真・スポニチ/アフロ)

「負けていたらチームの雰囲気が一気に下がる」森保ジャパンが南米強豪パラグアイに土壇場で追いつき2-2ドローにした価値

 サッカー日本代表が10日、パナソニックスタジアム吹田で行われた国際親善試合で、ともに来夏のW杯北中米大会出場を決めているパラグアイ代表と2-2で引き分けた。2度のリードを奪われる展開から前半26分にFW小川航基(28、NECナイメヘン)、後半終了間際にはFW上田綺世(27、フェイエノールト)のゴールで追いついた。W杯出場をかけた南米予選の18試合でわずか10失点の堅守を誇り、アルゼンチン及びブラジル両代表に勝利している難敵とのドローは、3戦連続で白星から見放されている森保ジャパンにどのような価値をもたらしたのか。

 終了間際に途中出場の上田綺世が同点ヘッド

 約6年7カ月ぶりとなる“屈辱”が目の前に迫っていた。
 パラグアイに1-2とリードされたまま、5分が表示された後半アディショナルタイムは4分に達していた。森保ジャパンがこのまま試合を終えれば、2019年2月にカタール代表、同3月にコロンビア代表に敗れて以来の連敗を喫してしまう。パナソニックスタジアム吹田を揺るがす声援がさらに強まった中で救世主が降臨した。
 敵陣の左サイドで獲得した直接FKがパラグアイにクリアされ、右タッチライン際の深いエリアへ転がっていく。ボールを拾ったMF伊東純也(32、ヘンク)がすかさずクロスを放つも、ニアへ飛び込んできたDF瀬古歩夢(25、ル・アーヴル)の頭には合わずにファーへ抜けていく。万事休す、と思われた直後だった。
 ぽっかりとスペースが空いていたファーポスト付近で、青色のユニフォームを着た選手がダイビングヘッドの体勢に入った。直前の後半44分に小川に代わって投入されていた上田が、起死回生の同点弾となる代表通算15ゴール目を振り返った。
「出場時間が短かったので、チャンスを絶対に逃さない、と自分に言い聞かせていた。相手ゴール前のこぼれ球も含めて、チャンスに映らないようなものを必ず仕留めよう、と。そうした準備が結果につながったのはうれしい」
 所属する名門フェイエノールトでは8試合で8ゴールを量産して、オランダリーグの得点ランキングのトップを快走している。鹿島アントラーズからヨーロッパへ旅立って4シーズン目。フェイエノールトにおける2023-24シーズンの5ゴール、昨シーズンの7ゴールをすでに上回っている秘訣を問われた上田は「今シーズンに何かを変えたから成功している、という感覚はない」とこう続けた。
「フェイエノールトに入ってからも上手くいかないことばかりだったけど、自分にできないことや足りないもの、必要なものに常に向き合い、チームの協力を得ながらひとつずつクリアしてきた。すべてが良い形で噛み合っている、というのもあるけど、そうした積み重ねが本当に少しずつ自分の力になってきたと思っている」

 

関連記事一覧