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パリ五輪アジア二次予選から帰国したなでしこジャパンの池田監督が成田で取材に応じた
パリ五輪アジア二次予選から帰国したなでしこジャパンの池田監督が成田で取材に応じた

なでしこ池田監督が明かすパリ五輪予選「75分間のボール回し」で賛否を呼んだ戦術選択の舞台裏とは?

 女子サッカーのパリ五輪アジア最終予選進出を決めたなでしこジャパンが2日、2次予選が行われていたウズベキスタンから帰国、池田太監督(53)が取材に応じた。2点を奪った後の約75分間をシュートなしのパス回しだけで終え、「無気力試合だ」「組み合わせを考えた戦略だ」とSNSや国内外のメディアで物議を醸した10月29日のウズベキスタンとの第2節の舞台裏を明かした。

 最終的に決めたのはウズベキスタン戦の試合前

 

 日本のSNS上で賛否両論を巻き起こし、中国メディアからは激しいバッシングを浴びた、90分間の大半をパス回しで終えたウズベキスタン戦の舞台裏が明らかになった。
 パリ五輪出場をかけたアジア2次予選のグループCの試合が行われていた、ウズベキスタンの首都タシケントからソウル経由で2日夕方に帰国したなでしこの池田監督が、成田市内のホテルで取材対応。物議を醸した戦い方をあえて選択した経緯を説明した。
 池田監督によれば、決断したのはウズベキスタン戦の当日だったという。
「最終的に決めたのはウズベキスタンとの試合前に、オーストラリアとフィリピンの試合の点差を見たときですね。そこでそれ(ボールを保持し続ける戦い方)をやる価値というか、それをやることによってプラスがもたらされるかどうかを判断しました」
 12カ国が3組に分かれたアジア2次予選は、グループAがオーストラリア、グループBが中国、そしてグループCがウズベキスタンでそれぞれ集中開催された。試合開催日は同じながら、各国間に時差がある関係でキックオフ時間はバラバラだった。
 第2節が行われた10月29日は、オーストラリア対フィリピンのキックオフは日本時間午後2時。ウズベキスタン戦を同午後9時に控えていた池田監督は、最大のライバルになると見られたオーストラリアの戦いを宿泊先のホテルでテレビ観戦した。
 そこで目の当たりにしたのは、グループAの対抗馬になると見られていたフィリピンから大量8ゴールを奪い、守っては零封したオーストラリアの圧倒的な強さだった。そこでアジアにわずか2枚しかない五輪切符を確実に手にするためには、最終予選でオーストラリアとの対戦を回避すべきだという戦略が指揮官の脳裏に浮かんだ。
 来年2月24日と28日に行われる最終予選には、各グループの1位と2位の最上位国の計4カ国が進出。2グループに分かれてホーム&アウェイ方式で対戦し、勝者がアジア代表となる。そして、組み合わせは複雑なレギュレーションのもとで決まる形になっていた。
 例えばグループAから2位の最上位国が出た場合は、グループCの1位はグループAの1位と対戦する。しかも第1戦をグループCの、第2戦をグループAのホームで戦う。先の女子W杯でベスト4進出を果たした実力を持ち、W杯効果で国内が大きく盛り上がっているオーストラリアと実際に対戦すれば、さまざまなリスクを伴うと池田監督は振り返る。
「相手がオーストラリアになると、日本にとって第1戦がホーム、第2戦がアウェイの順になる。移動距離も長いし、暑熱対策も含めたコンディション調整も難しい。さらにW杯後のオーストラリア国内の雰囲気などをトータルで考えました。何よりも第2戦を我々のホームでしっかりと戦える方がいいのではないか、という考えもありました」

 

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