
「来年4番不在でどうするんだ?巨人は全力で引き留めるだろうが岡本はメジャーでは通用しない」巨人重鎮OBが岡本和真のポスティングによるメジャー移籍問題にモノ申す
巨人が横浜DeNAとのクライマックスシリーズのファーストステージに連敗して敗退したことでストーブリーグに突入。かねてからポスティングによるメジャー挑戦を希望している岡本和真(29)の去就に注目が集まっている。巨人の重鎮OBでヤクルト、西武で監督を務めた広岡達朗氏(93)は、「来年4番不在でどうするんだ?巨人は全力で引き留めるだろうが、岡本はメジャーでは通用しない」と厳しい意見を口にした。
巨人がポスティングによるメジャー移籍を認める可能性も
岡本は一歩も動けなかった。二死走者無しから同点に追いつかれ、なお二死一、三塁から蝦名のサヨナラタイムリーの強い打球が目の前を抜けていった。ベンチに戻り無表情のまましばらくCS突破に喜ぶ横浜DeNAナインの姿を見つめていた。
ジャイアンツとの決別を決め、最後の戦いに思うところがあったのか。それとも来季もジャイアンツのユニホームを着てリベンジをすることを心に誓ったのか。
スポーツ各紙の報道によると岡本も去就について「今は何も話できることはありません」とだけ口にしたという。
昨年オフの契約更改でメジャー希望を球団に伝え、国内FAを前に複数年契約のオファーを断って単年契約を結んだ。だが、海外FA権を取得するのは来年オフ。メジャー挑戦はポスティングによるものとなり、巨人が認めなければならない。
岡本は5月6日の阪神戦の一塁守備で打者走者と交錯して左肘靭帯損傷の重傷を負い、復帰できたのは8月16日。その間、巨人は日替わりの4番でやりくりしたが、すでに阪神に10ゲーム差以上を離され、ペナントレースの決着はついていた。
岡本は、結局、69試合の出場に留まり、打率.327、15本塁打、49打点の成績に終わった。クライマックスシリーズでは、第1戦はノーヒット、第2戦は2安打したが、一発は出なかった。来季の4番候補が見つかっていない状況で、巨人が岡本のポスティングを容認するのかどうかも微妙だが、長年のチーム貢献を考慮し、また来年になれば海外FAで、ポスティングフィーも入ってこないため、今オフに容認する可能性も十分に考えられる状況だ。
巨人の重鎮OBの広岡氏は「おそらく巨人は全力で引き留めるだろう」と見ている。
「今はもう選手が希望すればメジャー移籍を認めざるを得ない時代となっている。ポスティングというルールがあり、決めるのは球団だが、どの球団も選手の希望を聞く傾向にある。どう考えても岡本が抜けると、今年のペナントレース同様に来年のジャイアンツは戦えない。岡本に代わって4番を打つ候補さえ見当たらない。来年も4番不在でどうするんだ? そう考えるとさすがに巨人は全力で引き留めるのではないか。あの怪我は三塁や一塁を守らせた阿部の責任で、私は人災だと思っていて、当然公傷扱いとなり、給料を減らすどころかアップさせて、あと1年だけジャイアンツでプレーさせることを球団は選ぶんだと思う」
さらに広岡氏は、こう続けた。
「私はスターが次々とメジャーに流出する問題はいかがなものかと考えているが、今岡本に行くなとも、巨人は引き留めるべきだとは言わない。ただ今のままじゃ岡本はメジャーでは通用しない。問題はあの体(フィジカル)。でかいが強くはない。メジャーのパワーやスピードにはついていけない。そこが(ヤクルトの)村上(宗隆)とは違うところだ。カブスの鈴木(誠也)にしてもメジャーでパワーで負けない体を作ったじゃないか。まあ行ってみてメジャーとの力の差を感じてみればいい」
広岡氏は、そう突き放した。だが、岡本は怪我で満足のいくシーズンを過ごせなかったこともあり、重鎮OBは、暗に来年1年、メジャー仕様のフィジカルを作り上げてから、海外FAで2027年からメジャー挑戦すればいいとの考えを示したのかもしれない。
一方でヤクルトはすでに村上のポスティングによるメジャー挑戦を認めており、MLB公式サイトは、関係者の話としてドジャース、レッドソックス、ジャイアンツの3球団が興味を示していることを報じている。
おそらく岡本は続けてメジャー移籍を強く訴えるだろう。果たして巨人はどんな結論を出すのだろうか。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)