「阪神3連敗の背景にセパ格差を感じる」ソフトバンクが小久保監督の6回「代打近藤」の“勝負手”がズバリ的中で日本一へ王手…虎は打線低迷でまた1点が届かず
日本シリーズの第4戦が29日、甲子園で行われ、ソフトバンクが3-2で阪神を振り切り3連勝。対戦成績を3勝1敗として日本一に王手をかけた。先発の大津亮介(26)が5回を3安打無失点に抑え球数も59球だったが、小久保裕紀監督(54)は6回の好機に大津に代えて近藤健介(32)を代打起用してズバリ的中。貴重な追加点をあげてその1点が決勝点となった。両球団のOBである評論家の池田親興氏は、阪神3連敗を受けて「セパの格差を感じる」と指摘した。
「(大津を)続投させようか迷ったが…」
小久保監督が勝負手を打った。
2点のリードで迎えた6回だ。一死から牧原が桐敷のグラブを弾き、中野の前へ転がる内野安打で出塁すると、続く海野にバントで送らせ、投手の大津の打席で代打の“切り札”近藤をコールした。
「続投させようかと迷っていたんですけど、二塁いったらもう1点取りに行こうと」
大津は5回まで阪神打線を3安打無失点に抑えていた。しかも球数はまだ59球。阪神打線が打ちあぐねていた状況を考えると、大津の続投がセオリーに思えたが、小久保監督は1点を取りにいった。
近藤はその指揮官の決断に応えた。
カウント1-0からの2球目。低めのゾーンギリギリのツーシームをライト前へ弾き返す。小久保監督は、自らの采配を横に置いて「打った近藤が凄い」と称えた。
阪神側から見れば一塁は空いていた。次打者は柳田。カウントによれば、柳田勝負という手もあったのかもしれないが、近藤はそんな状況になる前に勝負を決めてしまった。
パ・リーグの野球に詳しく両チームのOBである(前身のダイエー)池田氏は、小久保采配の背景をこう解説した。
「大津はシーズン後半からローテーに入った投手なので5回程度で降板するケースが多く、球数ではなくイニングで5回をメドにしていたんだと思う。降板に驚きはなかったが、小久保監督の覚悟は伝わってきた。故障明けの近藤は、今シリーズはDHでしか起用できないが、セのゲームではDHがこうやって切り札で使える。一方の阪神は、打線の状態が上がってこないにもかかわらず状況を変えるような野手が1枚足りない。セパの野球の格差の一つが出たシーンなのかもしれない」
2回に「追い込まれていたが速い球に負けないように待った」という山川がバックスクリーンに3試合連続のホームランを放り込んだ。
山川が近藤の代役4番。ソフトバンクの選手層の厚さを示している。

