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接近戦で天心にアッパーを打ち込む拓真。この距離が天心の弱点だった(写真・山口裕朗)
接近戦で天心にアッパーを打ち込む拓真。この距離が天心の弱点だった(写真・山口裕朗)

那須川天心の弱点がバレていた…「接近戦に弱い」大橋会長が明かす井上拓真の勝利秘話…「天心と武居との再起戦も面白い」

 実は陣営は天心の弱点を見破っていた。
 そのひとつがこの接近戦だ。
「接近戦が弱点だった。アッパーに反応しない。接近戦が苦手なんだよな」と大橋会長。
 7ラウンドに天心は頭をつけての接近戦を仕掛けてきたが、ここでも、拓真のアッパーとボディ攻撃が炸裂。天心は、攻撃にバリエーションをつけることができなくなった。
 浜田剛史代表が、試合後に「7回に頭をつけて打ちにいった。いろんなパターンを(スパーリングで)やってきたが、頭をつけての接近戦は、あまりうまくいっていなかった」と明かした。
 帝拳は、ファイタータイプのメキシカンを2人呼んで対策を練っていたが、大橋陣営は、その苦手な接近戦を克服できていなかったことを見破っていたのだ。
 さらに大橋会長はもうひとつの天心対策を練っていたことを明かす。「天心の武器であるサイドステップからの左アッパーを見切った。すぐに反応できたし空振りをさせた。あれは(その対策をした)スパーのおかげ。天心のスピードで初めて対戦すると、もらっちゃうがそのサウスポー独特のパンチに慣れていたんだ」
 今回は、12月27日にサウジアラビアで開催される「ナイト・オブ・ザ・サムライ」に抜擢された堤麗斗(志成)、大橋ジムの超ホープ、坂井優太ら、国内トップクラスのサウスポーとスパーリングを積み、その天心の武器である「サイドステップからのアッパー」対策を万全に積み封じ込めた。天心の下から突き上げるアッパーが大きく空を切る場面が目立った。拓真は一発も被弾することがなかった。
 キック時代の名残でインタバーバル中もコーナーで立ったままのスタイルを貫いてきた天心が7ラウンド終了後にイスに座った。
 大橋会長は「座っちゃったんでこっちがウワーと沸いた。盛り上がって勢いづいた」という。
 これも天心サイドが見せた隙だった。
 入場時は、拓真、天心の応援のボルテージは、ほぼ五分だったが、試合が進むにつれ「タクマコール」が大きくなった。
 拓真も「天心サイドに負けないくらいコールが大きかったのでびっくりした。声援が力になった」と振り返った。
 7ラウンドに拓真がコーナーに突き飛ばされ、天心がレフェリーから注意を受けると会場は、大ブーイングに包まれた。拓真が投げ飛ばされるシーンも何度かあった。
 大橋会長は「故意じゃない。格闘技歴が長く、しょうがないと思う」とかばった上で「ああいう部分が天心の格闘技的な強さ。クリンチの強さ。体幹が強い」と逆に評価した。

 

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