「この決断が2027年のF1復帰の可能性を高める」なぜ角田裕毅はレッドブルのリザーブ兼テストドライバーへの“降格”を受け入れたのか…来季陣容が正式発表…事実上5年守ったF1シートを失う
前例もある。
最新のドライバーズランキングで8位につけているウィリアムズのアレクサンダー・アルボン(29、タイ)は2020年限りでレッドブルのシートを喪失。翌年はレッドブルのリザーブ兼テストドライバーを務め、F1との接点を保ち続けた結果として、2022年にウィリアムズ入りして今季に至っている。
フェルスタッペンのチームメイトとして苦しんだ軌跡も含めて、角田が置かれた状況はそのアルボンと似ている。
加えてハースのエステバン・オコン(29、フランス)、オリバー・ベアマン(20、英国)の2人も含めて2026年で契約が満了となるドライバーが多数出るため、2027年はドライバーの大シャッフルが起きると見られている。角田がそこへ照準を絞ってレッドブルのリザーブ兼テストドライバーでチャンスを待つのは現状ではベストの選択肢なのかもしれない。
またレッドブルのセカンドドライバーが「毒杯」と揶揄されている点もあって前出の『F1 OVERSTEER』はこんな見解もつけ加えた。
「これまでと同じく、ハジャーがレッドブルのセカンドドライバーにまつわる悪しきサイクルを打破できなければ、今度は角田が恩恵を受ける可能性がある」
レッドブルは今季もローソンから角田に代えたように、シーズン途中のドライバー交代を積極的に行うチームだ。もしハジャーが取り扱いの難しいレッドブルのマシンに適応できなければ角田にチャンスが巡ってくる可能性もある。
決断が下された今、角田は前を向いて、自分自身の将来を切り開いていくしかない。5日開幕の今季最終第24戦、アブダビGPは角田にとっては“消化レース”とはならない。
初日のフリー走行1回目(FP1)に関しては、経験不足の若手をマシン1台につき2度ずつFP1に臨ませる規定のもとで、角田に代わってリンドブラッドが出走することが決まっているが、角田はフェルスタッペンのドライバー選手権の逆転Vへのアシストと、自らの“有終の美”を飾るため、全力の“ラストファイト”を見せるだろう。

