ドネアに挑むWBA王者の堤聖也が井岡一翔の発言に「火がついた」…激動のバンタム級で「完成度は井上拓真が上」と認めるも「こけたら終わる」の危機感を持ちレジェンド撃破へ
伊藤氏によると現地のドネアの練習映像ではサウスポースタイルを取り入れていたという。そういう陽動作戦で堤を戸惑わせて誘い、左フックを狙ってくるのかもしれない。
だが、堤もスイッチは得意戦術のひとつ。
「左に移った時のパターンや、その時どういうパンチが怖いとかは頭には入れている。対策というか、ちゃんとデータとして、こうしようみたいなものはある」
堤は勝利イメージをこう抱く。
「向こうが嫌だな。嫌だなと思いながら気づいたら僕がなんだかんだポイントを取っている。そういう中で7ラウンドを取れている。そういう感じじゃないですか。大差になるイメージはない。気づいたら僕が勝っていた。なんだかんだ堤が取っていた。そういう試合になる気がしている」
いかにして左フックを前半戦に封じ込み、得意のスタミナと、しっかりと作ってきた下半身を生かす“後半勝負”にどう持ち込むか。
「それは考えている展開。そこが強みとして生きてくるところではある。そうなる覚悟で試合はするが、ちょっとあまり考えたくはない。きついじゃないですか。終盤までって(笑)。まだ2週間あるんで、多分3日前ぐらいから考える。考えるだけできつい試合にはなる」
ただ不安点がある。前戦もドネアは、9ラウンドに偶然のバッティングにより右目上をカットしてそこで試合がストップとなり、途中採点で勝利した。堤も流血しやすく、バンタム級トーナメントの増田陸戦の判定勝利以降、4試合連続でカットしている。今回も流血のアクシデントが試合を左右する可能性がある。
偶然のバッティングで4ラウンドまでに試合続行不能となればテクニカルドロー。5ラウンド以降に入っていれば、そのラウンドも含めての採点勝負。もちろんパンチによるカットであればレフェリーストップでの勝利となる。
堤は「そこは意識から外さないとボクシングができない」としたものの、こうも対策を明かした。
「なるべく切りたくないが切れちゃう可能性はもちろん高い。いつ切れるかわからないので、序盤からポイントをピックアップしておかないと。中盤から行くぞ!と最初から思っていて、前半(にポイントを)取られて前半で切って、“途中採点で負けました”とか、そういうくだらないことにはなりたくない。そこはしっかりと考えている」
これは確実に遂行しておかねばならないリスクヘッジだろう。
バンタム戦線に大きな動きがあった。
11月24日には、ライブ配信したAmazonプライムビデオのゲストとして天心vs拓真を観戦した。「願望も込めてボクシングの幅の差で拓真が勝つ」と予想していたが、自らが昨年10月に判定でベルトを奪い、アマ時代からの因縁のある拓真が王座に返り咲いた。
「刺激をもらった。天心選手も凄かったし、いずれあそことやっていかないといけないという気持ちと、ここでこけたら終わるんで、より勝たないと、という気持ちが生まれた。会場に行ったことによって雰囲気だったり、自分がリングに上がった時に見える景色などを思い出すことができて凄くよかった」
先週末はアマチュアボクシングの全日本選手権の会場にも姿を見せた。名門の九州学院高ー平成国際大出身の堤は、例年足を運ぶ。
「後輩たちの姿に刺激をもらった」

