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WBA世界バンタム級正規王者の堤聖也と石原雄太トレーナー
WBA世界バンタム級正規王者の堤聖也と石原雄太トレーナー

ドネアに挑むWBA王者の堤聖也が井岡一翔の発言に「火がついた」…激動のバンタム級で「完成度は井上拓真が上」と認めるも「こけたら終わる」の危機感を持ちレジェンド撃破へ

 そして堤もスパーで手合わせするなど、リスペクトしている元4階級制覇王者、井岡一翔の大晦日のバンタム転級の初戦がいきなりWBAの挑戦者決定戦となった。
 井岡が9位、対戦相手が11位の挑戦者決定戦に疑念の声が多く、堤も「その信頼性がよく分かっていない」としたものの、ドネアに勝てば、休養王者のアントニオ・バルガス(米国)の次に、この試合の勝者が対戦候補となるだけに「そういう名目(挑戦者決定戦)でやるなら、今後(井岡と)やる流れが強まるというのは確かなんで、こちらとしてはありがたい」と歓迎した。
 ただその井岡は「正直、誰と一番やりたいかと言えば(井上)拓真選手」」と発言した。堤ではなく拓真と戦いたい理由を「評価としては一番高い選手」と説明していた。
 誇り高き男はさぞ反骨心を燃やしたかと思ったが意外な反応だった。
「反骨心…悔しい部分というのはもちろんあるが、客観的に言って、ボクサーとしての完成度は、拓真君の方が上。(拓真の評価が1番高いは)事実ではある」
 天心を下した拓真へのリスペクトがこの反応の根底にある。
 その井岡は堤の勝利を予想している。
「ドネア選手にキャリアだったり上手さという部分はあると思うが、瞬発的なパワーが衰えちゃうと自分のボクシングを作れない。年齢とともに(左フックの一撃が)脅威でなくなると対戦相手は戦いやすい、入りやすい、潰しやすい。堤選手の展開で言うと自分の距離感に持っていきやすいんじゃないか」との見立てだ。
 堤はその見解に素直に「嬉しい」と反応した。
「僕が勝つと言ってくれたコメントはニュースで見た。それは嬉しかった。本当に勝っていけば、そういう面白いカードが組めるんで。火がつきますよね」
 ドネアの次に待っている未来を想像するとさらにモチベーションが上がり、さらに負けられない気持ちが強くなるに違いない。
 ただ堤がドネアに勝った場合の次の防衛戦ロードは少々複雑だ。
 基本線は休養王者のバルガスとの団体内統一戦。もしバルガスが母親を亡くしたショックからまだ立ち直っていなければ、大晦日に井岡が戦う挑戦者決定戦の勝者が、次の選択肢となるが、実は、大橋サイドが持っているオプションが優先される可能性がある。
 つまり堤vs拓真の2団体統一戦だ。
 タイミング的には、来年5月に東京ドームで開催される予定の井上尚弥vs中谷潤人のビッグマッチのアンダーカードが浮上する。
 堤は、それに関しては「そこに自分も出たい気持ちはもちろんあるが、出たい出たいでできるもんじゃない。トップの大企業様が我が中小企業を選んでくれるのかというところ(笑)。せっせと力を蓄えて選んでいただけるように頑張りたい」とジョークを交えて返した。
 だが、大橋サイドが、そのオプションを行使せずに大晦日の結果次第で、井岡の挑戦を受ける方向に動けば、拓真vs井岡が、東京ドームでのカードになるだろう。
 大橋サイドがそのオプションをWBO世界同級王座から陥落した武居由樹に使えば、堤のベルトに武居が挑むというカードも実現可能となる。堤がレジェンドのドネアを撃破すれば、激動のバンタム級が、さらに面白くなることだけは間違いない。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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