「やらせて下さい」12.27サウジ世界戦が眼窩底骨折で中止の堤駿斗が強行出場直訴も手術必要で断念…延期か白紙か今後の展開は?
プロボクシングのWBA世界スーパーフェザー級3位の堤駿斗(26、志成)が27日にサウジアラビアで開催される「The Ring V: Night of the Samurai」で挑戦する予定だった同級正規王者、ジェームス・ディケンズ(34、英国)との世界戦が中止になった。スパーリング中に右目に眼窩底骨折を負ったもの。視力に異常はなかったことから本人は「やらせて下さい」と強行出場を訴えたが、ドクターストップがかかり、志成ジムも堤の将来を考えて中止を決断した。堤は近日中に手術を行う予定だ。試合は基本的には延期の方向だが、同級1位のエルヌル・サメドフ(32、ロシア)が指名挑戦権を主張しており、回復に時間がかかった場合、ディケンズーサメドフ戦の勝者への挑戦という形になりそうだ。
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堤のサウジでの世界初挑戦が正式に中止となった。
堤が挑戦するはずだったWBA世界スーパーフェザー級正規王者のディケンズは、代替選手との防衛戦は行わず、試合そのものが流れた。
当初「The Ring V: Night of the Samurai」は、堤の試合以外にはスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(大橋)対アラン・ピカソ(メキシコ)をメインに前WBC&IBF世界バンタム級王者、中谷潤人(M.T)のスーパーバンタム級へのテストマッチ、IBF世界スーパーフライ級王座に挑む寺地拳四朗(BMB)、ライト級の“世界前哨戦”の今永虎雅(大橋)、そして堤の実弟である麗斗のプロ転向4戦目の「日本対世界」の6対6マッチの予定だったが、堤の世界戦が中止になったことで「5対5」マッチとなった。
堤の怪我の経緯も明らかになった。
堤は米国ラスベガスのイスマエル・サラストレーナーのもとでキャンプを張ったが、帰国後、右目が真っ赤になるなどの異常が発生した。ものが二重に見えるなど視力異変はなかったが、念のため病院で精密検査を受けたところ、眼窩底骨折であることが判明、手術が必要との診断を受けた。
スパーリングで負ったダメージによるものだが、いつ、どのスパーリングで眼窩底骨折を負ったかは定かではないという。
堤は、視力などには異常がなかったため、「やらせて下さい」と強行出場を直訴した。
しかし、ドクターからストップがかかり、志成ジムサイドも「将来がある選手。何か問題が起きたら大変、今無理して行うべきではない」と中止を決断した。
関係者によると堤の落ち込みはひどかったという。
このサウジでの試合は、正規王者のラモン・ローチ(米国)が12月6日に2階級上のWBC世界スーパーライト級暫定王者のイサック・クルス(メキシコ)に挑んだため、WBAがリングに上がった時点で王座を剥奪した。暫定王者だったディケンズが正規王者に昇格。WBA総会でも、堤が挑戦するサウジでの試合が正規のタイトル戦と認められていた。それだけにショックは大きいだろう。

