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リングチェックのため控室を出た井上尚弥。この後控室に戻ってバンテージいちゃもん事件に巻き込まれた(写真・Mark Robinson/Matchroo))
リングチェックのため控室を出た井上尚弥。この後控室に戻ってバンテージいちゃもん事件に巻き込まれた(写真・Mark Robinson/Matchroo))

「そいつを追い出して!」井上尚弥をイラ立たせたピカソ戦直前の控室での“バンテージいちゃもん事件”の真相とは?

 井上がバンテージにこだわるのは過去に拳を骨折する怪我を負ったことがあるからだ。ハードパンチャーの宿命だが丁寧にバンテージを巻くことで怪我の防止をはかってきた。もともとはバンテージの専門家の指導を受けて、佐久間史郎トレーナーが受け継ぎ、そこに改良を重ね、ここ数試合は太田光亮トレーナーが巻いている井上流のバンテージである。それが怪我の予防と同時にパンチを放つ際に「痛めるかも」という恐怖感を無くすことにもつながっていた。
 筆者は、ピカソ戦の終盤に右のパンチが少なくなったことや右手を気にする仕草があったことに、いつもの手順でバンテージを巻けなかった影響が少なからず関係していたのでは?と見ていたのだが、それよりも影響を与えたのは、精神面だった。
 試合後、井上が口にした「集中力であったり、いまいち体と気持ちが一致していなかった。やりたいボクシングと気持ちが一致していなかった」との反省。その理由のひとつが本来ならば集中力を高める時間帯に起きた“バンテージいちゃもん事件”があるのだろう。
 そしてさらに控室が隣にあったピカソ陣営からの“声”の妨害工作があったという。
「ワーワー、ガーガーとうるさかった」と真吾トレーナー。
 グランドアバイバル、メディアワークアウト、公式会見、セレモニー計量と、試合までに4日連続で行事があったが、ピカソ陣営は大人数で押し寄せ「ピカソコール」「メヒココール」を繰り返して騒ぎ立てていた。スタッフでもない“応援団”がピカソの控室に入りこんで、同じような調子で騒いでいたという。大橋会長も「あきらかにこちらに聞こえるようにワザと騒いでいた」と怒り心頭だった。
 そもそも大会運営側の王者と挑戦者の控室の配置への配慮に欠けていたのも問題だった。“バンテージいちゃもん事件”に、ピカソ陣営の妨害工作…。初めて試合をするサウジの地での予期せぬ“外的要因”がモンスターの何かを狂わせ始めていた。
「あれは尚弥の試合ではない」
 真吾トレーナーが羽田での帰国会見で、そう振り返ったピカソ戦のゴングが鳴った。
(次回連載③へ続く/文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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