なぜJ3福島は昨季JFLでシュート1本無得点の“58歳”三浦知良を獲得したのか…「準備、メンタル、勝敗を分ける局面での判断力がクラブの成長を促す重要なプロフェッショナリズム」
若手が多い福島にカズの濃密なキャリアが絶対に必要だと考えた小山CEOが、最初にコンタクトを取ったのは昨年10月下旬。当時を「3年間連絡を取らなかった中でいきなり電話を入れるのは失礼だと思い、ショートメールを送りました」と振り返る小山CEOに対して、カズも「これはオファーなのかなと最初は思いました」と苦笑する。
鈴鹿市内で行われた交渉では福島の熱意に加えて、天然芝のグラウンドを備えた練習環境などがカズの心に響いた。寺田監督が標榜する攻撃的なスタイルも「見ていて面白いサッカーだと感じました」とポジティブに映った。そして加入が発表された昨年末以来、ホームタウンですでに大きな変化が起こっていると小山CEOが言う。
「福島は東日本大震災や原発事故など多くの困難を経験してきましたが、それでも前を向き、立ち上がり、歩みを止めなかった地域です。その姿は挑戦を続けてきたカズさんの歩みとどこか重なっていると私たちは感じていますし、何よりもすでに福島の人々が『カズさん来てくれる』ととても喜んでくれているし、数多くの声が届いている。福島ユナイテッドを通じて、ピッチの内外でホームタウンをはじめとする地域のみなさまに与える影響は計り知れないし、夢と希望になってくれると確信しています」
Jリーグは秋春制へのシーズン移行に伴い、昇降格のない特別大会の百年構想リーグを2月から6月まで開催する。J1は20チームを東西の2グループに、J2とJ3は計40チームを東西で4グループにそれぞれ分けてまず地域リーグラウンドを行う。
東のBに入った福島は、J1で優勝経験のあるJ2のジュビロ磐田、元日本代表の槙野智章新監督(38)が就任した同じくJ2の藤枝との対戦が待つ。シーズン終了後に個人的なキャンプを敢行。現在の状態を「チームのトレーニングに参加して試合出場を目指す準備はできた、というところ」とするカズは百年構想リーグへの思いをこう語った。
「確かにJFLよりも高いレベルでプレーするのは本当に大変だと思うんですけど、自分がこのチームで生かされて、成長して、試合に出て、チームの勝利のために活躍できたらいいなと。いまは希望のほうが大きいし、そこに集中してやっていきたい。毎年毎年同じ目標ですけど、1分、1秒でも長くピッチに立ちたい」
カズは一夜明けた10日に福島の初練習に参加。日本の元号が昭和だった1986年にブラジルでプロになって41年目、日本国内では延べ9チーム目での戦いをスタートさせる中で、対戦を楽しみにしている磐田戦2日前の2月26日に59歳になる。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

