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6年ぶりの早明戦となった決勝を制したのは明治大(写真・アフロスポーツ)
6年ぶりの早明戦となった決勝を制したのは明治大(写真・アフロスポーツ)

ラグビー大学選手権で未成年者飲酒の不祥事もあった明治大が早大を下して7年ぶりに復活を遂げた理由とは…10時間を超えるミーテイングと反則を誘ったハードワーク

 今月2日の準決勝でともに勝利。決勝では6年ぶり11度目となる早明対決が決まってからは、ミーティングの合計が10時間を大きく超えた。伊藤によれば、さまざまな思いをぶつけ合った中でこんな合言葉が共有されたという。
「決勝はディフェンスのゲームになる。覚悟を決めてやろう」
 試合は前半9分に早稲田のキャプテン、CTB野中健吾(4年)がPGを決めて均衡を破る。しかし、明治は17分に敵陣での早稲田ボールのスクラムでコラプシングを誘発。さらにラインアウトから連続攻撃を仕掛け、最後は平のオフロードパスを受けたPR田代大介(3年)が19分に逆転トライを決めた。
 28分には日本代表にも選出された早稲田のFB矢崎由高(3年)が、危険なプレーで10分間の一時退場。直後にCTB東海隼(4年)が決めたトライはTMOで取り消されたが、再び敵陣でのスクラムでコラプシングを誘発。ラインアウトからの連続攻撃で、最後はスペースを突いた伊藤が33分に右中間にトライを決めて突き放した。
 自身の目の前でワンバウンドするパスミスを拾い、早稲田の足が一瞬ながら止まった隙を突いた伊藤は「前が空いたら、自分の判断で仕掛けようと思っていました」と胸を張った。エンドが変わった後半8分には、早稲田のラインアウトをスティール。一気に敵陣へなだれ込むカウンターから、最後は伊藤のパスを受けたFL大川虎拓郎(3年)が左中間へトライ。この瞬間に勝負は事実上、決まった。
 試合を通じて目立ったのは早稲田の反則の多さだった。対抗戦のリベンジを期した明治FW陣に雄叫びを上げさせたスクラム時のコラプシングだけではない。明治陣内に攻め込んでもノックフォワードやノットリリースザボールで何度もチャンスを潰す展開に、伊藤は「みんなのハードワークのおかげです」と胸を張った。
「相手はすごくやりづらかったはずだし、メンタル面でかなりプレッシャーもかかっていたと思います。1人だけじゃなく2人、3人としつこくタックルにいって、抜かれたとしても何度もボールに手をかけていた。ビッグプレーじゃないけど、それでも80分間を通して本当に小さなディフェンスをやり続けた結果として、僕たちにプラスになる流れが生まれた。それが優勝できた要因なのかなと思っています」
 明治が同じシーズンに対抗戦、そして大学選手権決勝で宿敵・早稲田に連勝したのも29年ぶり2度目。1996年度の4年生で、No.8でプレーしていた神鳥監督は、シーズン最後の試合でベストゲームができたのでは、という問いに笑顔でうなずいた。
「この大舞台、一番大事な試合で、一番強くて素晴らしい相手に対して自分たちが持つ最高のパフォーマンスを見せてくれた。素直に誇りに思っています」
 どん底と言っていいスタートを切りながら、特に心の部分で成長を重ねながらつかみ取った大学日本一。立役者の一人となった伊藤は「やってきたことが報われる、というのはこういうことなんですね」と感無量の表情を浮かべながら、最上級生で迎える次のシーズンへ「一からまた頑張っていきたい」と早くも視線を向けていた。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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