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クボタスピアーズ船橋・東京ベイのスーパールーキー木田(左から3人目)が後半29分に逆転トライを決めて初優勝を牽引(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイのスーパールーキー木田(左から3人目)が後半29分に逆転トライを決めて初優勝を牽引(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

なぜラグビー「リーグワン」で東京ベイが初優勝を飾ることができたのか…南ア名将の“飴と鞭”、そして内外の選手補強の努力

 2シーズン目を迎えたラグビー「リーグワン」の決勝が20日、国立競技場で4万1794人の観衆を集めて行われ、クボタスピアーズ船橋・東京ベイが2連覇を目指した埼玉パナソニックワイルドナイツを17―15で下し、前身のトップリーグ時代を含めて初のリーグ制覇を達成した。後半、一度は逆転を許すが、スーパールーキー木田晴斗(24)のトライで逆転、リードを守り切った。低迷期もあった東京ベイは、なぜ頂点に立つことができたのか。

 スーパールーキー木田が後半29分に逆転トライ

 

 カウントダウンが始まった。
 クボタスピアーズが敵陣でボールを保持する。17―15。わずか2点のリードだ。最後はスタンドオフのバーナード・フォーリーが球をタッチラインの外へ蹴り出し、ノーサイドの笛を聞いた。
 歴史を塗り替えた。
 5月20日、東京・国立競技場。発足2年目となるジャパンラグビーリーグワンのプレーオフで、頂点に立った。旧トップリーグ時代から通算しても初の優勝である。
 発色のよいオレンジのジャージィが、黄緑の芝に映えた。前年度のファイナルより8190人多いファンの前でマスコットのスッピー君を交えた写真撮影が始まった。
 立川理道。フラン・ルディケヘッドコーチ体制が発足した2016年から主将をし続ける33歳は、こう言葉を選んだ。
「あ、優勝したな、と。感情が爆発したわけではなく…。優勝トロフィーを掲げてからは、感慨深く思いました」
 相手はパナソニックワイルドナイツ。常に相手の力を引き出し、いなし、旧トップリーグ時代から国内タイトルを2連覇していた強豪だった。
 この日のワイルドナイツも要所で堅守を披露していたが、いつもと違ったのは相手の力を過剰に引き出していたことだ。チャンスでのパス交換、得意のキック処理でミスを重ねた。
 一方、スピアーズは少ないチャンスを得点につなげた。
 前半を9-3で折り返し、後半には12―3とリードを広げたが、後半27分に12-15と逆転を許す。象徴的なシーンは、その直後だった。
 後半29分。敵陣10メートルエリア右のラインアウトから、クラブ自慢の強力フォワード陣がラックを連取。球を複数名で囲い、その後ろからスクラムハーフの藤原忍が高い弾道で蹴った。すると左タッチライン際にいたナンバーエイトのファウルア・マキシ、ウイングの根塚洸雅が、ボールの落下地点に向かって駆け込んだ。事前の打ち合わせ通りの動きだ。
 対峙するのは野口竜司。ワイルドナイツのフルバックだ。これまで何年も空中戦を制してきたキャッチングの名手に、マキシが空中でプレッシャーをかけた。
 野口は捕球を誤った。こぼれ球を根塚が拾って走った。一気にゴール前まで進んだ。
 スピアーズは、ワイルドナイツの防御が整う前に左へ展開した。最後はインサイドセンターの立川が、左端にいたウイングの木田へキックパスを送った。逆転のトライ。

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