そんなことあるの?「一つですがJクラブから声かかる」優勝した神村学園エース日髙元が“就活”兼ねた高校サッカー選手権で7ゴール得点王の活躍が認められて“夢”つかむ
左足の小指付近の骨折を繰り返した患部には、今もボルトが埋め込まれている。昨春まで戦線離脱を繰り返した影響で、卒業後の進路決定でもやや出遅れた。しかし、決勝後の取材エリアで日髙はこんな言葉を残している。
「ひとつですけど、Jクラブの方からは声をかけてもらっています」
今まで負けを知らないと自負するスピードを駆使し、ゴールを量産する活躍ぶりが待望のオファーを手繰り寄せた。一部スポーツ紙は、J2のRB大宮アルディージャがオファーを出したと報じている。日髙が安堵した表情を浮かべる。
「やはり進路が決まっていない状況で、不安もちょっとありました。もちろん安心しましたけど、大会中はそちらに寄りすぎてしまうと良くないと思っていたし、あまり深く考えずにサッカーだけに集中して、がむしゃらにプレーしてきました」
鹿児島県勢として初優勝した、1995年度大会の鹿児島実業でサイドバックとしてプレーしていた有村圭一郎監督(49)からは「まだ(オファーが)来るんじゃないか」と言われているという。大会期間中だった関係で、オファーに対して回答していない日髙は、現状を「まだ考えている状況です」とこう語る。
「多くのスカウトの方々が見ている中で最後の決勝まで試合ができて、スピードを含めた自分の特徴というものを見せられたんじゃないかと思う。神村に来てからプロを本格的に目指し始めて、怪我で苦しい時期も、メンタル面がちょっと崩れて辞めたいと思った時期もありましたけど、そのときに『サッカーを続けて欲しい』や『大丈夫だよ』と励ましてくれた親には、あらためて感謝したいですね」
元と書いて「はじめ」と読む名前には、両親の「何でも一番になってほしい」という願いが込められている。想いが叶うように、直近では2021年度の青森山田(青森)以来となる史上6校目の夏冬二冠を獲得し、個人的なタイトルとして得点王にも輝き、未定だった卒業後の進路が一転して引く手あまたな状況となりつつある。
「日本国内から(キャリアを)スタートさせて、自分の長所を発揮しながら海外にも挑戦したいし、もちろん日本代表入りも目指したい。スピードもあってスプリント力もある前田大然選手のようなフォワードになっていきたい」
高等部への進学から約半年後に、中等部時代のサイドハーフからフォワードに転向。怪我の連鎖を乗り越えて選手権の歴代得点王の系譜に名を刻んだ日髙は、成長するスピードをさらに上げながら憧れ続けたプロの世界に挑もうとしている。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

