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青森山田高校の監督から転身した黒田監督がJ2町田の快進撃を生み出している(資料写真・松尾/アフロスポーツ)
青森山田高校の監督から転身した黒田監督がJ2町田の快進撃を生み出している(資料写真・松尾/アフロスポーツ)

「クレームをつけられる理由はない」ロングスローにブーイングが飛び交うなどプレースタイルに賛否起きたJ2町田がJ1横浜F・マリノスを4-1で破る金星を挙げた理由とは?

  サッカーの天皇杯3回戦が12日に行われ、J2リーグの首位を独走するFC町田ゼルビアがJ1首位の横浜F・マリノスを4-1で撃破する金星をあげた。ホームの町田GIONスタジアムにマリノスを迎えた町田は前半5分、ハイプレスからこぼれたボールをFWミッチェル・デューク(32)が押し込んで先制。その後も3ゴールを積み重ね、マリノスの反撃を1点に抑えた。青森山田高の監督から転じた黒田剛監督(53)のもと、J2戦線を席巻している町田はなぜJ1王者をも圧倒したのか。

 「いろいろと言う方はいますが、いちいち答える必要はない

 

 サポーターが叫ぶ「町田ゼルビア、町田ゼルビア」がガラス越しに響いてくる記者会見室。町田の黒田監督が万感の思いを込めながら金星を振り返った。
「J1のトップであろうとJ2であろうと、プロサッカー選手であることに変わりはない。怯んでいいわけでもないし、個人で負けていい理由もない。プライドを前面に押し出して戦ったなかで、選手たちが最後まで勝ちにこだわって走り切ってくれました」
 町田だけでなくマリノスも、直近のリーグ戦から先発11人全員を入れ替えた一戦。町田はさらにシステムを[4-4-2]から[3-4-2-1]にスイッチ。ゴールキーパーから短いボールを繋いでくるマリノスへ、前線の3人がまずプレッシャーをかける戦法を選択した。
 開始わずか5分。ハイプレスが鮮やかに奏功した。
 ゴールキックで試合を再開させたマリノスのビルドアップを、連動したプレスで追い込んでいく。そしてボランチの喜田拓也(28)にパスが入った瞬間に、今シーズンの公式戦で初先発を果たしたボランチの宇野禅斗(19)が激しくチェック。こぼれた球をデュークが拾い、マリノスのキーパー、オビ・パウエル・オビンナ(26)の動きを見極めてゴールに流し込んだ。
 3月に右足第5中足骨を疲労骨折。リハビリの過程でさらに2度も骨折し、復帰が大幅に遅れた宇野は、募らせてきた悔しさを球際の激しさに凝縮させた。
「そういう期間があってよかった、と言えるようなシーズンにしていきたい」
 青森山田高が2021年度の全国高校選手権を制したときの愛弟子が、J1王者マリノスを相手に果たした復活劇に黒田監督も思わず目を細めた。
「こういう試合で活躍するのが彼なので。気が滅入るようなリハビリを、涙を流しながら送っていた彼を、これから戦力として考えていけるのは嬉しいですね」
 流れをつかんだ町田は、前半アディショナルタイムにルーキーのMF布施谷翔(22、国士館大)がループ弾を決めてリードを広げる。後半には途中出場したU-22日本代表FWで、同じくルーキーの平河悠(22、山梨学院大)が22分、34分と連続ゴールをゲット。マリノスの反撃を同39分の1点だけに抑える圧巻の試合内容で金星に花を添えた。

 

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