え?そこまで?「正気を取り戻させる最後の手段」ドイツでサッカー北中米W杯へのボイコット論が起きる…トランプ大統領のグリーンランド“支配”政策への抗議で英国も同調か
デンマーク自治領グリーンランドの領有を主張する米国のトランプ政権に反対しているドイツの政界で、6月から米国などで共催されるサッカーのW杯北中米大会のボイコットが取り沙汰され始めた。ドイツのキリスト教民主同盟(CDU)のユルゲン・ハルト議員(62)が、ボイコットの提案に関して「トランプ大統領に正気を取り戻させる最後の手段になるかもしれない」と必要性を訴えた。すでに英国など他国にも同調する動きが見られ、欧州各国のサッカー協会の間にも懸念が広がっている。
英国など欧州の他国へも波及する可能性が
大国間の政治問題がサッカー界にも飛び火しようとしている。
国家安全保障上の理由からデンマークの自治領グリーンランドを獲得する必要があると強硬に主張する米国に、激しく反発するNATO(北大西洋条約機構)諸国。ドナルド・トランプ大統領(79)は自身の計画に反対し、グリーンランドへ軍部隊を派遣したNATOの8カ国からの輸入品に対して2月1日から10%の追加関税を課すと17日に発表。関税はさらに6月1日から25%に引き上げられる。
軍部隊派遣への報復措置となる追加関税の発動は、対象となったドイツや英国、フランスなどから必然的にさらに大きな反発を招く。米国がカナダ、メキシコと共同開催する今夏のW杯へのボイコットが、19大会連続21度目の本大会出場を決めているドイツ国内で取り沙汰され始めたのもその一環となる。
ドイツ国内のメディアを通じて、W杯北中米大会のボイコットを検討する必要性を訴えたCDUのハルト議員の言動を、米国の老舗スポーツ雑誌『Sports Illustrated』は「ドイツの政治家が最後の手段を取った」と報じた。
「CDUの外交政策担当スポークスマンを務めるハルト議員は、米国も開催国に名を連ねる今回のW杯のボイコットを、グリーンランドを巡る問題において『トランプ大統領に正気を取り戻させるための最後の手段になるかもしれない』と位置づけている。連立を組む社会民主党(SPD)の議員も『欧州全体で団結しなければいけない』と欧州全体でのボイコット検討を促している。ドイツ紙の『Bild』が実施した世論調査では、実際に米国がグリーンランドを領有した場合、回答者の47%がW杯のボイコットに賛成し、反対だった35%を大きく上回った。もっともこれはトランプ大統領が追加関税を課す前の数字であり、今ではさらに賛成が多くなっているはずだ」
同じく追加関税を課された国で、W杯のグループステージ初戦で日本代表と対戦するオランダでもボイコットを求める声が高まっていて、20日までに約9万人もの署名が添えられた嘆願書が政府に提出された。英国でも保守党、労働党の議員を問わずに、米国大統領に対する有効なメッセージとしてボイコットが呼びかけられている。
政治とスポーツは、本来は切り離されなければいけない。しかし、大国間の主権が絡み合い、経済的な実害も生じかねない事態になれば状況も大きく変わってくる。英国の公共放送『BBC』は、飛び交い始めたW杯ボイコットにこう言及した。
「北中米大会のボイコットは、米国の外交政策に反対する意思を示す象徴的な方法となるだろう。しかし、それが効果的かどうかは現時点で不明と言わざるを得ない。サッカーの世界統括機関であるFIFA(国際サッカー連盟)のジャンニ・インファンティーノ会長はトランプ大統領の盟友として知られ、昨年12月のW杯組み合わせ抽選会では、自らが新設した『FIFA平和賞』をトランプ大統領に贈呈しているからだ」
ボイコットを巡る問題は、すでにサッカー界にも影を落とし始めている。

