中井亜美の銅メダル“首かしげポーズ”を生んだシーズン前の作戦会議…「トリプルアクセルをフリーで2回やりたい気持ちがあったが勝つための戦略はそこじゃなかった」【緊急連載③】
ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート女子シングルで銅メダルを獲得した中井亜美(17、TOKIOインカラミ)の緊急連載の第3弾。シニア1年目を迎えるあたり、ある作戦会議が開かれていた。
五輪出場への手ごたえはグランプリシリーズ・フランス大会の優勝
中井が練習拠点とする千葉県船橋にある三井不動産アイスパークは2021年に立ち上がったリンクだ。中井はその第1号のメンバーだが、アカデミーとしては、「2030年のフランス・アルプス五輪の出場を目標にして選手を育成する」という目標を掲げていた。
ヘッドコーチを任された中庭健介氏は「シーズン前には、まったくミラノ・コルティナ五輪に出場できるだなんて考えていませんでした」という。
中井も五輪出場が決定した会見でこう語っていた。
「ミラノ五輪は出られるとは思っていなかったので、その4年後の五輪を目標としていました。(出場できるとは)予想もしていなかったですし、自分自身に期待をしていませんでした。日本の選手層がすごく厚いことは分かっていたので、ここまでの立ち位置になるとは思っていなかったの凄くびっくりしています」
シニア1年目となる今シーズンの初戦は9月にイタリア・ベルガモで行われたロンバルディア杯。今大会の金メダリストのアリサ・リュウもグランプリシリーズへの足慣らしとして出場していた。
中井はSP、フリー共にトリプルアクセルで転倒したが2位となり表彰台に上がった。優勝は4回転トゥループに挑んだ住吉りをんで、SP首位発進のリュウは4位だった。
続いて中井は10月の五輪シーズンのグランプリシリーズ開幕戦となるフランス大会にエントリーした。日本からはミラノ・コルティナ五輪での金メダル候補の坂本花織も出場していた。中井はSPでトリプルアクセルに成功した。シニアの国際試合の公式戦では初だ。自己ベストを更新する78.00点の世界歴代11位の得点でトップに立ち、フリーでもトリプルアクセルは着氷が乱れ手を着くも、他のジャンプはノーミスで滑り切り、149.08点の高得点をマークして、計227.08点で2位の坂本にわずか2.85点差で優勝をかっさらったのだ。
中庭氏は、このフランス大会の優勝で「空気が変わった。もしかしたらと…」と考えてもいなかった五輪出場の可能性を少しだけ感じたという。
「ただの優勝じゃありませんでした。あの日本では絶対王者で、世界でもトップの坂本花織さんに勝てたことが大きかった。自信にもなりました。僕たちは、初のシニアのグランプリシリーズで、勝ち負けよりも、どんな評価をしてもらえるか?半信半疑でしたが、ショートプログラムでの78点がすべての流れを変えました。この試合で、シニアの国際試合で初めて成功させたショートのトリプルアクセルに降りたのがすべてでした。ジュニアの大会では規定でショートにトリプルアクセルは入れることができず、ダブルアクセルだったんですが、そこでいきなり成功させてショートでトップに立て、その勢いのままにフリーもやりきれました。今振り返れば、あのフランス大会の優勝が、考えてもいなかった五輪出場へのきっかけとなりました」

