• HOME
  • 記事
  • 野球
  • なぜオリックス山本由伸はソフトバンクとの天王山で完封勝利を飾れたか…マジック減らしを阻止して2ゲーム差
オリックスの山本由伸がソフトバンクとの首位攻防戦の第1ラウンドに完封勝利(資料写真)
オリックスの山本由伸がソフトバンクとの首位攻防戦の第1ラウンドに完封勝利(資料写真)

なぜオリックス山本由伸はソフトバンクとの天王山で完封勝利を飾れたか…マジック減らしを阻止して2ゲーム差

 エースの名にふさわしく8回無失点で快勝した3月25日の西武との開幕戦から、ここまで先発ローテーションを堅持してきた。リーグ最多タイの24を数える登板で3連戦のカード頭を託されたのは10回。シーズンが佳境を迎えた8月以降で5回を数え、対戦相手も上位を争う西武が3、ソフトバンクが2という点に、中嶋聡監督が山本へ寄せる全幅の信頼が反映されている。

 そのなかでも今回のソフトバンク戦は別格だった。山本自身も「カード頭はいつも重要だけど、今回は特に流れを左右する」と自らに言い聞かせてマウンドに立った。

 10日の前回登板も、くしくも京セラドーム大阪に首位ソフトバンクを迎えた一戦だった。7回を2失点に抑えた山本の力投で5-2の逆転勝利を収めたオリックスは、プレーボール前の3位から129試合目にして今シーズン初の単独首位に浮上した。

 しかし、連覇へ向けて視界が開けた直後からチームは失速する。

 11日以降の5試合で1勝3敗1分けだったオリックスに対して、ソフトバンクは破竹の6連勝をマーク。あっさりと首位を奪還し、15日に点灯させたマジック「11」を一夜明けた16日には「9」へと減らしゲーム差も3に広げていた。

 残り試合数もひと桁になり、かつソフトバンクより4つも少ない。エースの称号を託されているからこそ、もはやひとつも負けられない瀬戸際で迎えたソフトバンクとの最後の3連戦、そのカード頭が持つ意味を山本は誰よりも理解していた。

 中嶋監督もエースと一蓮托生の覚悟を決めていたのだろう。山本の完封勝利を「もう本当に素晴らしいピッチングでした」と称賛した指揮官は、試合中は安心して見ていられたのでは、という問いに「いや……」とこう続けている。

「ソフトバンク打線なので、ホームランがあるのはもちろんわかっているし、(走者を)一人出しただけでも心配にはなりますね」

 プレーボール直前にベンチ内に集め、自ら檄を飛ばした打線が初回に2番・中川圭太の7号ソロ、3回には4番・頓宮裕真の犠飛で2点をあげた。しかし、ソフトバンクの先発右腕、板東湧梧から追加点を奪えないままプロ初の完投を許した。

 最後まで気が抜けぬ緊迫感があった。

 各社の報道によると、中嶋監督は「非常に大きな完投。これで中継ぎ陣も『またいこう』という形になれると思う」と、山本の完封の波及効果を口にしたという。

 

関連記事一覧