広島の堂林翔太が4回に代打逆転満塁弾を放つ(資料写真・黒田史夫)
広島の堂林翔太が4回に代打逆転満塁弾を放つ(資料写真・黒田史夫)

なぜ巨人は広島に屈辱の3試合連続満塁弾を許したのか?

 

巨人が17日、東京ドームでの広島戦に5-10で逆転負けを喫して5連敗、借金は「4」に膨らみ、阪神が中日に勝ったことで5位に転落した。巨人は3回までに4-0と主導権を奪ったが4回に先発の高橋優貴(25)が、押し出しを含む3連続四球と崩れ、緊急登板した2番手の鍬原拓也(26)が、代打の堂林翔太(30)に逆転満塁弾を浴びた。その後も点差を広げられ、同一カード3連敗。2位の広島から5位の巨人まで1.5差の大混戦は続いている。

3連続四球からの代打・堂林に逆転グランドスラム

 それはウォーカーの記録に残らないエラーから始まった。  4回。先頭の秋山のレフトの前にふらっと上がった打球にウォーカーがスライディングキャッチを試みたが、ワンバウンドでグラブに当たるタイミングとなって捕球できなかった。続く4番のマクブルームは、ライトフライに打ち取ったが、秋山は三塁へ進み、一死三塁となって坂倉にセンターフェンス直撃のタイムリー二塁打を許して1点を失った。

 1回にウォーカーの2ラン、3回に中田の2ランが飛び出して、序盤の主導権を握り、まだ3点差があったが、高橋の帽子からは、ボタボタと汗が流れ余裕が見えない。

 前日に満塁弾を放っている続く長野には、徹底して低めをついた。逆に言えば、意識しすぎていた。2-2と追い込んだが、スクリューが低すぎてフルカウントとなり、最後は外を狙った変化球がスッポ抜けた。続く小園にも四球を与えて満塁。

 今度は2日前にプロ12年目にして初の満塁弾をマークしている磯村を迎える。バッテリーの潜在意識のどこかにそのイメージはだぶったのだろうか。  また徹底した低めゾーンを意識した投球となり、カウント2-2から、やっと大城がインサイドに体を寄せて、ストレートの勝負球を投じたが、これがボールとなり、フルカウントとなってスライダーがスッポ抜けた。3連続四球の押し出しで2点差。

 ベンチを立って鍬原への交代を告げた原監督はイラ立ちを隠せなかった。右手で自分の太腿あたりを大きく叩いた。 広島ベンチは投手の野村に代えて代打・堂林を送った。

「みんながつないでくれたチャンス」

 堂林は打つ気満々だった。

 気のはやる堂林に対して鍬原―大城のバッテリーは外角から組み立てた。1球目は、外の変化球がボールとなり、2球目は、たまたま高めに抜けたボール球を堂林が振ってカウント1-1。さらに鍬原は外へ148キロのストレートを投じ、それを強振した堂林は空振りした。鍬原のスピードについていけていなかった。1-2の投手が有利なカウントとなった。だが、ここでバッテリーが選択した“安全策”が裏目と出る。

 外へのカットボールが、大城の構えたミットよりも、やや内側に入った。ストレートに振り遅れていた堂林にとっては、ちょうどタイミングが合う半速球だった。

「感触が凄く良かったので入ると思いました」と堂林が手応えを感じた打球はレフト最前列に飛び込む逆転のグラウンドスラム。

 警戒するあまりに闘争心が消えて自滅した高橋の“弱気”が鍬原にも伝染したのか。

 

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