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4連勝で首位キープの横浜F・マリノス。U-21日本代表主将の”ホープ”藤田譲瑠チマが躍動した(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
4連勝で首位キープの横浜F・マリノス。U-21日本代表主将の”ホープ”藤田譲瑠チマが躍動した(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

なぜU-21代表主将の藤田譲瑠チマは4連勝で首位キープの横浜F・マリノスの中で存在感を示すことができているのか?

 

明治安田生命J1リーグ第18節の3試合が25日に行われ、首位の横浜F・マリノスが4-0で柏レイソルに快勝。今シーズン初の4連勝で、史上2チーム目のJ1通算500勝に王手をかけた。ホームの日産スタジアムに柏を迎えたマリノスは前半17分、U-21日本代表MF藤田譲瑠(じょえる)チマ(20)の縦パスをきっかけにMF西村拓真(25)が先制点をゲット。パリ五輪世代をけん引する藤田に勢いづけられ、試合前の時点で4位だった柏を攻守両面で圧倒した。

「90分間を通してそれほどストレスなくプレーできた」

 周囲の味方からは「右!」と指示が飛んでいた。確かに右斜め前にポジションを取っていた、右サイドバックの松原健(29)に対するマークが甘かった。  ボランチを組んだ岩田智輝(25)から短い横パスを受けた前半17分。しかし、藤田が選択したのは、10mほど前方にいたFW水沼宏太(32)への縦パスだった。  コロナ禍で続けられてきたオンライン形式ではなく、ミックスゾーンでの対面形式で行われた試合後の取材。一瞬の判断で迷いなく水沼を狙ったと藤田は明かした。

「パスをもらって前を向いたときに、(水沼)宏太くんがフリーだったので。そこへパスをつければ何かが起きると思ったというか、外よりも真ん中へ、というのはずっと言われていたので。それが上手くいって、得点につながったのかなと」

 藤田の縦パスをトラップした水沼が体勢をやや崩しながら、右足のアウトサイドでさらに縦へボールをつなぐ。ターゲットになったFWレオ・セアラ(27)はシュートではなく、ペナルティーエリア内で意表を突くヒールパスを選択した。

 流れるような連携の前に柏の守備陣が大混乱に陥ったなかで、ゴール正面で西村が思い切りよく右足を振り抜いた。慌てて飛び込んできたDF高橋祐治(29)の左足に当たったボールは軌道を山なりに変えながら、柏ゴールへ吸い込まれていった。

 実は「右!」と指示が飛んだ瞬間に、柏DF三丸拡(28)は松原を警戒すべくポジションを移しかけている。その分だけ水沼がフリーになった状況で、ボールの速さやコースなどすべてが完璧だった縦パスがスイッチを入れる役割を果たした。

「自分と(岩田)智輝くんのところで上手く動かせたし、サイドバックとのかかわりを含めて、ディフェンスラインや前の選手ともすごくいい関係が作れた。今日は90分間を通して、それほどストレスなくプレーできたと思っています」

 満足そうな表情を浮かべた藤田は21日夜に、U-21代表のキャプテンとしてAFC・U-23アジアカップを戦ったウズベキスタンから帰国したばかりだった。  日本からの直行便がないウズベキスタンへは、トルコ・イスタンブール経由の長時間フライトとなる。4時間の時差がある上、気温も連日のように30度を大きく超えた酷暑のもとで、16日間で6試合を消化した過密スケジュールとも戦った。

 しかも、2年後のパリ五輪を見すえて21歳以下の陣容で臨んだ日本に対して、他国は大会レギュレーション通りに23歳以下の選手たちでチームを構成した。大会期間中の日本は、選手やスタッフから新型コロナウイルスの陽性者が相次いだ。

 

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