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負傷が心配されたネイマールは2日の韓国戦には出場して暴れた(写真:ロイター/アフロ)
負傷が心配されたネイマールは2日の韓国戦には出場して暴れた(写真:ロイター/アフロ)

今日新国立で森保Jが挑むブラジルはどれだけ本気なのか…「重要な試合。しっかりと日本を分析している」

国立競技場で4日に行われた来日後の初練習はすべて公開され、レギュラー組と見られる11人にはネイマールとカゼミロ、大ベテランのDFダニエウ・アウベス(39、バルセロナ)ら韓国戦の先発メンバーにビニシウスらが加わっていた。

 ブラジルメディアも、GKアリソン(29、リバプール)、左サイドバックのギリェルメ・アラーナ(25、アトレチコ・ミネイロ)、ビニシウスが新たにピッチに立つ一方で、残る先発陣は韓国戦とおそらく変わらないと報じている。

 チッチ監督は記者会見で、セレソンの現在地を「新しい世代が台頭してきた」と説明した。その上で会見に同席させたセザール・サンパイオコーチに詳細を補足させた。

「経験が豊富な選手と、まさにここ日本で優勝したオリンピック世代が一緒になって嬉しい問題が起こっている。スピードのある選手、特にフォワードに際立った特長を持った選手が加わった。ネイマールへの依存度の高さは、これまでのブラジルにとってテーマのひとつだったが、肩の荷が降りた印象がある」

 金メダルを獲得した昨夏の東京五輪で「10」番を託されたFWリシャルリソン(25、エバートン)が韓国戦で先発して先制点をマーク。直前に開催された南米選手権に出場した関係で東京五輪代表からは外れたものの、2021-22シーズンに急成長を遂げた東京五輪世代のビニシウスが、日本戦ではリシャルリソンに代わって先発する。  韓国戦でPKによる2ゴールを決めて代表通算得点を「73」に伸ばし、神様ペレが持つ歴代最多の「77」を射程距離にとらえたネイマールはブラジルメディアに対して、4シーズン目を迎えたレアル・マドリードで17ゴール13アシストをマークしたビニシウスを、現時点における世界でナンバーワンの選手にあげている。

 次は代表初ゴールの期待がかかるそのビニシウスは、フラメンゴから加入し、ヨーロッパ王者の一員になるまでの4年間を公式練習後にこう振り返っている。

「レアル・マドリードというビッグクラブに移籍することは、簡単なことではなかった。最初のシーズンから多くの試合に出られ、調子がいいときも悪いときもあったなかで監督から常に信頼してもらえて、勇気づけられる言葉をかけてもらった。ブラジル代表とはまったく違うサッカーで、戦術面でもチームに慣れる必要があったが、おかげで2022年まで時間をかけていい準備をして、優勝に貢献することができた」

 ちなみに、過去の3シーズンにおいてラ・リーガ1部であげたゴール数は8にとどまっていた。潜在能力を一気に開花させたスピードスターは4-4-2の左サイドハーフで、右サイドバックに回る長友佑都(35、FC東京)と対峙する。

 現役時代は横浜フリューゲルスや柏レイソル、サンフレッチェ広島でプレーした経験を持つサンパイオコーチは分析担当も務める。日本を対象にした分析の一端として、会見では「特にディフェンスが強固なチームだ」と明言。DF吉田麻也(33、サンプドリア)とMF遠藤航(29、シュツットガルト)に続いて長友の名前をあげた。

 さらにMF南野拓実(27、リバプール)とMF伊東純也(29、ヘンク)の名前をあげた上で、攻撃陣にも「クリエイティブな選手がそろっている」とこう続けた。 「とりわけミナミノはテクニックがあり、イトウは1対1に強くてスピードもある。いずれにしても、明日はお互いにテクニックを駆使する素晴らしいゲームになる」

 長友だけでなく南野も伊東も、直近のパラグアイ代表戦には出場していない。吉田と遠藤も前半限りでベンチへ退いた。それでも警戒すべき選手として名前があがったのは、アジア最終予選を戦ったメンバーを軸に臨んでくる日本の最新情報を得た上で、選手個々の特長を入念にチェックしているからに他ならない。つまりは本気の証となる。

 今回のアジアツアーが決まった直後から、ブラジルメディアや国民の間からは批判の声が上がった。韓国および日本との実力差を指摘し、ワールドカップへ向けた強化にならないという声は、イコール、負けはもちろん苦戦も許されないプレッシャーにもなる。

「日本がわれわれに対してやっているように、われわれもしっかりと分析している」

 日本対策は万全だとチッチ監督は胸を張った。ネイマールをはじめとする主力に新たな戦力を融合させ、その上で日本の森保一監督が「華麗さだけでなく、やるべきことを泥臭く、我慢強く、粘り強くやってくる」と舌を巻いた全員サッカーを展開してくる。カタール仕様になった本気のブラジルが、国立競技場でベールを脱ごうとしている。

(文責・藤江直人/スポーツライター)

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