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赤穂(左)が送ったレターが無効試合をカシメロKO勝ちに変更させる決め手に。レター送付の理由をプロモートした元WBO世界Sフェザー級王者の伊藤雅雪氏(中央)が明かす(写真・ボクシングモバイル)
赤穂(左)が送ったレターが無効試合をカシメロKO勝ちに変更させる決め手に。レター送付の理由をプロモートした元WBO世界Sフェザー級王者の伊藤雅雪氏(中央)が明かす(写真・ボクシングモバイル)

異例のカシメロ対赤穂の裁定変更は「KO負け」認める一通の手紙が決定打…なぜ赤穂は不利になる“応援レター”を送ったのか

 プロモーターとしては、前WBO世界バンタム級王者のポール・バトラー(34、英国)との試合を2度も、自らの失態で流して、スーパーバンタム級での再起にかけていたカシメロの「市場価値やランキングを落としたくない」という心情にも配慮した。
「真面目に取り組んでいた姿を見ていたので応援したいと思った。今回僕らが、(カシメロの抗議に)賛同することを選んだことへの批判があれば仕方はない」とも言う。伊藤氏は。今後もカシメロの試合のプロモートをしていく考えで、関係を悪化させたくないとの狙いもあったのかもしれない。
 ただ、裁定変更という異例の事態でファンや関係者を混乱させ、一部で信頼を失ったことに対しては「難しいところがあって一概に意見は言えないのだが、判定が変わるのはよくないことだし、本来はない方がベター。ただ、あの試合の判定としては、今回変更されたジャッジが正当だったと感じている。今後も海外での興行を計画しているし、二度とこういうことが起きないように、(対策と準備を)徹底していく必要はある」と反省を口にした。
 当日の興行に染谷レフェリー、ジャッジを派遣して協力していたJBCは、KBMが出した報告書の内容に不明な点が多いため、今後、関係者へのヒアリングを行う方向。特に問題となっているのが、公開された報告書にあった「赤穂氏がレフェリーを欺いた」との一文だ。
 赤穂は2ラウンドに後頭部へのパンチ以外でのダメージが大きかったにもかかわらず反則パンチによる影響だったと演技して染谷レフェリーにアピ―ル。実際に5分の休憩時間を与えられ、結局、試合続行不可能となった点を「KO負けを避けるために取ったレフェリーを欺く行為」と判断されたのだ。
もし、これが事実であれば、JBCは赤穂へ何らかのペナルティを検討することになる。赤穂は、公開したユーチューブで、演技したかどうかの問題については、「顔面にパンチを効かされて完全に(記憶が)とんでいる。たぶん休もうとしている。後頭部のパンチは効いていると言えば効いているがカシメロの有効打が最初」という説明をしていた。
 伊藤氏は、「ダメージはあったし気が動転していたと思う」と、赤穂の意図的な「欺く行為」については否定した。
 伊藤氏は、今後、主催者としてなんらかの公式コメントを発表して、ファンに混乱と不信感を与えたことに対しての説明責任を果たしたいという。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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