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阪神が巨人に連勝。岡田監督が佐藤輝明を外して「3番・サード」で抜擢した渡邉諒が大活躍した
阪神が巨人に連勝。岡田監督が佐藤輝明を外して「3番・サード」で抜擢した渡邉諒が大活躍した

采配ズバリで巨人に連勝!…なぜ岡田監督は“サトテル”を外して渡邉諒のスタメン抜擢を決断したのか…気になる今後の起用法

 実は、渡邉のトレードは日ハムの新庄監督から「江越を欲しい」と打診されたのが発端だった。岡田監督が監督就任を要請された9月下旬の段階でもうフロントレベルで話が進んでいた。ただ交換相手は候補段階で確定しておらず、岡田監督が出した注文が「右の内野手」「直球に強い」の2つ。見事に当てはまったのが“直球破壊王子”の異名を持つほどストレートに強い渡邉だった。岡田監督は、今でもそうだが、ここ数年の傾向として「ストレートに弱い打線」をどう変えるかがテーマだと考えていた。その変革は簡単にはいかない。まずは、その傾向に毒されていない「ストレートに強い打者」をチームに放り込みたかったのである。昨年オフから岡田監督が種をまいてきた戦略が、開幕最初の巨人3連戦でひとつ花開いた。
 問題は佐藤の“今後“だ。
「そりゃ結果が出なけりゃ外すよ」
 岡田監督から、佐藤にレギュラー確約の“聖域”がないことを聞かされたのは、確か沖縄キャンプの第3クール。一部のメディアでは、岡田監督が示した佐藤のスタメン外しの方向性を「方針転換」のような報じられ方をしたが、「方針転換」ではなく、岡田監督は、もうこの時点から最悪のケースに対する“備え”を頭に描いていた。
 岡田監督は、佐藤三塁、大山一塁の守備位置固定と、クリーンナップ起用の方針を監督就任と同時に打ち出したが、佐藤に関しては、ずっと不安を抱えていた。秋季キャンプでゼロから立て直すつもりだったが、佐藤が侍ジャパンの強化試合に招集されたことで、ほとんどその時間がなく「前さばき」のヒントを与えただけに留まったのも誤算だった。オフの間は、首脳陣は手が出せない。沖縄キャンプ初日に見た佐藤は、グリップを下げ、ステップが広くなり、摺り足ステップに変貌を遂げていた。佐藤は、岡田監督が指導した打撃理論と“真逆”の理論を持つソフトバンクの柳田悠岐の自主トレに参加していた。
 岡田監督は、ルーキーイヤーの4月から6月のサトテルが見せていたバットにボールが当たれば柵を越える豪打を取り戻すことを理想としていたが、佐藤は、よりコンパクトに確実性を求め、結局、どっちつかずの試行錯誤が続く。あるライバル球団のスコアラーは、沖縄キャンプ中の佐藤を見て「1球、1球すべてタイミングがバラバラ。彼自身の将来、野球界の将来を考えると、これだけの素材を持ったバッターになんとかいい方向に進んで欲しいが、ウチとしては、このまま悩んだ状態でいてくれれば楽」と本音を漏らしていた。
 オープン戦ではバットのグリップに「ブラストモーション」というセンサーを装着して、ボールに入るバットの角度、スイングスピードやスイング軌道などを確認してきたが「これでいく」という形を固められないまま開幕を迎え、ここ7試合で22打数2安打(1四球)の打率.091、本塁打0、打点0の大不振。ストレートに差し込まれ、速い球への対応を意識して変化球に揺さぶられるという悪循環に陥り、コントロールミスの半速球くらいしか打てる気はしなかった。「チームが勝つため」の最善を追求することを信念として持つ岡田監督が2021年10月21日の中日戦以来のスタメン落ちを決断したのも、当然と言えば当然だ。

 

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