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8年ぶりに単独首位に立った中日。立浪監督はキャンプから手応えを感じていた(写真・黒田史夫)
8年ぶりに単独首位に立った中日。立浪監督はキャンプから手応えを感じていた(写真・黒田史夫)

本物?今だけ?中日が8年ぶり単独首位に立てた理由…立浪監督が語っていた再建策…「ビジターでの先取点と与四球の撲滅」

 中日が9日、横浜スタジアムでの横浜DeNA戦に3-1で勝利して4連勝。まだ10試合消化とはいえ2016年5月10日以来、2891日ぶりの単独首位に立った。先発の小笠原慎之介(26)が7回を5安打無四球1失点に抑え、新加入の中田翔(34)が全打点を叩きだした。チーム防御率は1.94。スタメンが昨年に比べて4人入れ替えになった打線も機能、立浪和義監督(54)が沖縄キャンプで語っていた構想通りにチームが進んでいる。

「まだ10試合だが変わったドラゴンズでここまで戦うことができている」

 春の珍事とは言わせない。中日が強力打線で開幕好スタートを切った横浜DeNAを引きずり落として入れ替わりで8年ぶりの単独トップに立った。SNSは一時大騒ぎとなったが、スポーツ各紙の報道によると、立浪監督は冷静に受け止めた。
「まだ10試合。ただ昨年までとは違って、今年は戦えるチーム状況。変わったドラゴンズでここまで戦うことができている」
 勝負は三好―田中の1、2番コンビの粘りから始まった。
 新外国人のジャクソンに対して、三好が7球粘って四球を選ぶと、田中に対してベンチはバントのサインは出さず、田中もまたファウルで粘り、9球投げさせて連続四球。3番の高橋はバントを小フライにしてしまって失敗したが、そのミスを引きずらない。新4番の中田がカウント0-2と簡単に追い込まれてから軽打に切り替え、一、二塁間を狙ってチョコンとタイムリーを転がす。巨人時代も、状況に応じてツーストライク後から軽打していたが、集中力が違った。しっかりと先手を取った。広島戦3連勝はいずれも先取点を取った。
 「敵地での先取点」は、立浪監督が掲げていたテーマだった。
「ピッチャーが点を先に取られてしまうと追いつけないので窮屈なピッチングになってしまった。特にここ数年はビジターでずっと勝てない。ビジターにいくと先に点を取られ、そこにきて打線が弱いので打ち勝てない」
 最下位に終わった昨年は、本拠地での成績が30勝39敗3分でビジターが26勝43敗2分。敵地にいくと弱かった。チーム防御率もホームでは2.63だが、ビジターになると3.57と極端に悪くなった。先に点を取られ、打線が反撃できず、さらに投手陣が踏ん張れないという悪循環。そのパターンを改善するポイントを立浪監督は「先取点」に置いていた。今季は、ここまでそのビジター対策がしっかりとできているのだ。
 2回二死から大和、山本祐の連続二塁打で同点に追いつかれるが、3回にも、また三好、田中の1、2番コンビの連続ヒットでチャンスを作って、ジャクソンにプレッシャーをかける。高橋の打席でワイルドピッチを誘い、難なく走者を進めると、一死からまた中田がカウント2-2から見送ればボールのチェンジアップを片手で軽打した。コンパクトなパンチショット。打球はライト前に落ちて勝ち越しの2点タイムリー。一塁ベース上で中田は苦笑いしていた。
 立浪監督は6日の広島戦で中田が異常を訴えると途中で引っ込めて翌7日の広島戦はスタメンから外した。ベテランのコンディションに気を配り、長いシーズンを見据えてベストな状態を維持できるような起用をしている。その効果が出た。そして中田への期待は、「ホームランより打点」だった。その技術力を評価していた。
「昨年のチームがなぜチャンスで打てないかというと技術がないから。単純に速いストレートで攻められると打てない。これも技術なんです」
 中田にはストレートで攻められても変化球に対応できる技術がある。まさにその技術で3打点を稼いだ。

 

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