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サイヤング投手のバウアーが先発デビューの広島戦で白星。98球の圧巻ピッチングだった
サイヤング投手のバウアーが先発デビューの広島戦で白星。98球の圧巻ピッチングだった

「1か月遅れでも2桁勝つのでは?」横浜DeNA超大物バウアーの何がどう凄かったのか…7回1失点9奪三振勝利の広島戦での「ソードポーズ」封印の理由と異常なボール回転数

 満場のハマスタでお立ち台に上がったバウアーは感激していた。
「今までプレーした野球の試合の中で一番特別だった。この雰囲気を作ってくれた皆さん、本当にありがとう。皆さんのことが大好きです」
 2021年のシーズン途中にDV問題などで訴訟を起こされ、それは後に不起訴となるが、2022年4月にMLB機構から324日の出場停止処分を下されて(のちに194試合に軽減)1年半もメジャーのマウンドに立てなかった。今年に入ってドジャースから解雇。他のメジャー球団からは敬遠されたが、横浜DeNAが救いの手を差し伸べてくれた。その復帰戦を前に緊張からか家を出る際に鼻血が止まらなくなったという。
「服についたらどうしようと考えたんだ」
 三浦監督は「楽しんで」と緊張を解きほぐす声をかけた。最寄りの関内駅などに「バウアー来浜」という広告ポスターが張られ、横浜駅前の高島屋デパートに22メートルの高さの巨大な垂れ幕がかけられるなど熱烈な歓迎の意を示され、ハマスタで超満員のファンに後押しされた。
「比較はできないが、まるで2016年のワールドシリーズの雰囲気だった」
 当時、インディアンスのローテー投手だったバウアーは、カブスとの世界一決戦で2試合に先発している。
 15分ほどの囲み会見に応じたバウアーは「しばらく投げることができなかった。ずっとこの勝利を待ち望んでいた」と、神妙な面持ちで初勝利の味を噛み締めた。

 バウアーの何がどう凄かったのか。
 三振と共にフライアウトが多かった。21個のアウトのうち三振が9個でフライアウトが8個。マクブルームに至っては2つがキャッチャーファウルフライである。その理由をスコアラーの1人は、「ストレートをあえて意識して高めのゾーンに投げてくる。加えて回転数が多く、フォームも一度、右膝を曲げて肩を下げてからショートアームで投げるのでリリースポイントが下になり、打者からすれば、下からぶわーっと煽られるような感覚になっているのではないか。それでボールの下を叩くことになるのでは」と分析した。
 トラックマンによる簡易データをネット裏のスコアラー陣も手に入れていたが、ストレートの回転数は、2500回転から2600回転、ナックルカーブは3000回転近い回転数を示したという。NPBの平均が、ストレートで2300回転前後で、カーブでも2600回転程度なので、かなりの回転数だ。
 またメジャー時代には、ストレートのホップ量が51センチあり、メジャートップの数字を叩き出している。ボールにスピンがかかり手元で伸びて来るからフライが増える。
「たとえ変化球が多彩でもストレートに力がなければなんとかなるが、ストレートはムラなく150キロ台前半を投げてくるし、最速は160キロ近い。そこに加えて特殊なボールの質があるのだから攻略は難しい」
 またメジャー時代から得点圏に走者を置いてからの被打率が低く、奪三振率が高いため「ピンチに強い投手」として知られていたが、この日も、その一端を垣間見せた。
 得点圏に3度走者を出したが、そこでは3三振を取った。広島の新井監督も「要所、要所で投げる球はさすが」と脱帽だったが、ピンチではスピードも制球の精度も増すのだ。
 三浦監督は「ストレートで押すところは押しながらも、打者の反応を見ながら強弱をつけてゲームメイクした。途中から変化球を多く使い、引き出しの多さ、精度の高さを見せてくれた」と絶賛した。

 

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