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JFAの審判委員長がヴィッセル神戸のMF齊藤未月(24)が重傷を負った柏レイソル戦での誤審を認めて謝罪(写真・アフロ)
JFAの審判委員長がヴィッセル神戸のMF齊藤未月(24)が重傷を負った柏レイソル戦での誤審を認めて謝罪(写真・アフロ)

なぜJリーグで危険なプレーを見過ごす誤審が生まれたのか…審判委員長が神戸のMF齊藤未月が重傷を負った柏レイソル戦でレッドカードを出さなかった誤審を認め謝罪

 神戸が直接FKを蹴った時点で、今村主審はキッカーのすぐ近くにポジションを取っていた。柏ゴール前までは距離があり、扇谷審判委員長も「齊藤選手の体で、彼の足が隠れてしまう可能性が非常に高かった」と言及した。
 今村主審からも事情を聞いている扇谷委員長は、直接FK時のポジショニングに関して「何か言えば結果論になる」とも言及。さまざまな考えをめぐらせたなかで、同主審が最終的に下した判断を尊重したと説明した。
 ピッチ上で主審がファウルを判定できない場合は、PKや一発退場の可能性をチェックするVARの出番となる。最初はジエゴと戸嶋のハンドをチェックし、ファウルなしと判断したVARはしかし、ジエゴと齊藤の接触は確認できなかったという。
 チェックには複数のカメラによる映像が用いられる。しかし、ジエゴと齊藤の接触場面に関しては鮮明でない映像やブレている映像、肝心の箇所がゴールポストに隠れている映像、さらには距離が遠い映像だけとなり、VARの介入に至らなかったという。
 しかし、確認する手段はまだあったと扇谷委員長は指摘する。
「いくつかのキーポイントがある。齊藤選手の外傷。神戸のゴール側からの映像では、ジエゴ選手の足が上がっているのがわかる。さらにメインカメラの映像では、画像は粗いものの接触しているだろうと。さらに、接触したのは一回しかない。そういったものを紐解いていくなかで、主審とVARでもっと情報を共有する必要性はあったと思っています」
 特に齊藤の左膝に関しては、今村主審も間近で見ている。そうした情報をVARへ伝えれば、双方の考え方を変えられる可能性があったと同委員長は続ける。
「すぐにドクターが呼ばれるなど、なぜピッチ上で緊急性が生じたのか。そこはVARにはわからないので、主審が伝える必要があった。齊藤選手の外傷を伝えることで、ジエゴ選手の左足が高く上がっている、スパイクの裏で齊藤選手の左膝に接触している映像があるのかどうか、というコミュニケーションが取られる可能性もある。確実でクリアな映像をVARには求めてきましたが、そのようにはいかず、複合的にジャッジしなければいけない状況もある。その意味でわれわれとして、もっとやれることがあったんじゃないかと思っている」

 

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