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スペイン戦の後半3分に同点ゴールの堂安(右)を森保監督が祝福(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
スペイン戦の後半3分に同点ゴールの堂安(右)を森保監督が祝福(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

城氏が解説するスぺイン戦“歓喜逆転勝利”の理由…「もう奇跡ではない。弱点分析に前への意識を持たせた森保采配と堂安が示したリバウンドメンタリティ」

 

 もう奇跡ではない。日本は実力と戦術でW杯優勝経験国であるスペインに勝ったのだ。ドイツ戦に続き、また新たな歴史的1ページを開いた。
 前半は苦しかった。日本の悪い面が出て、スペインの技術力に圧倒された。日本は「5-4-1」のシステムで、ブロックを作って守ったが、どこでどうボールを奪うかの約束事が徹底されず、中盤でプレスが効かず、ボールを奪っても、ミスでロストするなどして自由自在に回された。 
 前半11分。斜めに入れられたクロスからモラタにヘッドで先制点を奪われたが、これも板倉がモラタをマークしきれなかったミス。ディフェンスラインは人が余っていたが、押し上げることもできていなかった。スペインを必要以上に過大評価し、リスペクトしすぎたのだろう。スペインは、少しでもスペースがあれば前を向き、嫌なところを攻めてきたが、日本は1失点で持ちこたえ、後半、三笘、堂安を投入したことで流れが変わった。今回は4バックから3バックに変えたドイツ戦と違い、システムは変わっていない。
 変わったのは「前への意識」である。
 三笘、堂安の2人に引っ張られるように恐怖心が取っ払われチーム全体に前へいく意識が出た。しかも、この2人は、ボールをキープできるので、スペインのミスを誘発する時間帯を作ることができ始めた。
 後半3分の同点ゴールも、三笘と前田のプレッシャーを受けたGKシモンが苦し紛れにつなごうとしたキックがミスとなり、高い位置で伊東が相手に競り勝ったことが起点となった。
 シモンは東京五輪で対戦した際にも、前からプレッシャーをかけられると、おどおどし始めてリズムを崩していた。スペイン戦に向け綿密な解析と準備をしてきた日本は、その弱点も計算済みだったのかもしれない。
 その伊東が頭で落としたボールを堂安がワントラップからカットインして遠目の位置から強烈なシュートを放った。有言実行を貫く堂安は、一発、勝負するつもりだったと思う。GKからはブラインドになったのかもしれないが、無回転のような球質で、シモンはセーブしきれなかった。堂安の思い切りの良さがゴールを生んだのである。
 この試合で日本はコスタリカ戦の敗戦からチームとして見事なリバウンドメンタリティを示した。その代表がコンディションも最高の状態にあり、強い気持ちを持ってプレーした堂安なのだろう。
 この同点ゴールでスペインの動きがガラっと変わる。急いで点を奪い返そうと焦ってミスを連発するようになった。スペインの選手は、うまくいかなくなると、イラつき、焦るというメンタルに弱点がある。日本は、そこまで読んでいたのだろう。前半は機能しなかったプレスが効き始めて、さらにスペインのミスを誘発した。

 

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