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レッド、イエローが4枚出た大荒れのラグビーW杯決勝は南アフリカがNZを12-11で振り切り2大会連続4度目の優勝(写真・AP/アフロ)
レッド、イエローが4枚出た大荒れのラグビーW杯決勝は南アフリカがNZを12-11で振り切り2大会連続4度目の優勝(写真・AP/アフロ)

レッド・イエローカードが4枚乱れ飛ぶ“荒れた”ラグビーW杯決勝に賛否両論。南アに11ー12で惜敗したNZのメディアは「逆境に突き落とされた」

 ラグビーのW杯フランス大会の決勝が28日(日本時間29日)、パリのスタッド・ド・フランスで行われ、世界ランキング1位の南アフリカ代表が12-11で同2位のニュージーランド(NZ)代表を振り切って、2大会連続、最多となる4度目の優勝を果たした、両チーム合わせて4枚のカードが乱れ飛んだ頂上決戦でNZはキャプテンのFLサム・ケーン(31)が危険なタックルで退場。試合の大半を数的不利で戦わざるをえなくなった展開をNZメディアは「逆境のどん底に突き落とされた」と嘆いた。

 

 

 一枚のレッドカードが頂上決戦の行方を大きく左右した。
 南アのCTBジェシー・クリエル(29)へ危険なタックルを見舞ってイエローカードを提示され、29分にシンビン(10分間の一時退場)となったケーンに、専任の審判員が映像などを検証する「TMOバンカーシステム」の判断が下ったのは約5分後だった。
 連絡を受けたイングランドのウェイン・バーンズ主審(44)が提示したのはレッドカード。10回目のW杯決勝で初めてレッドカードをうけた選手になったケーンは両手で顔を覆い、次の瞬間、悔しさを押し殺すように唇をかみしめていた。
 この時点でスコアは3-9とNZがリードされていた。ともにPGをひとつずつ加えて迎えた後半。NZは南アを無得点に抑え、攻めては後半18分にボーデン・バレット(32)がトライ。しかし、あと1点が及ばずに2大会ぶり4度目の優勝を逃した。
 NZメディアの『Stuff』が、試合後のケーンの言葉を伝えている。
「明らかに落胆しているし、失望している。仲間たちが実に50分以上の時間を、14人でプレーしなければならなかった状況に対してだ」
 開始早々の3分にも、NZはイエローカードを提示されている。FLシャノン・フリゼル(29)が密集のなかで、南アのHOボンギ・ムボナンビ(32)の右膝に乗ったとしてシンビンに。SOハンドレ・ポラード(29)に先制のPGを決められた。
 決勝の選手採点でフリゼルに10点満点中で4点と厳しい評価を下した『Stuff』は、ケーンに対しては容赦なく最低評価の2点を与えている。
「クリエルへの危険なハイタックルで退場。今大会のアキレス腱でもあったオールブラックスの規律破綻が、大事な戦いでまたもや露呈した」
 NZは準決勝までの6試合でイエローカードを4枚、レッドカードを1枚受けていた。順当に勝ち進みながらも顔をのぞかせた隙を同メディアは厳しく指摘した。
 別のNZメディア『nzherald.co.nz』は「勇敢なるオールブラックスの破れた夢。カードだらけの賛否両論の決勝を、スプリングボックス(南アの愛称)が僅差で制して史上最多の4度目の優勝カップを手にした」と報じた。
「サム・ケーンのレッドカードは、オールブラックスを逆境のどん底に突き落とした。フルメンバーを維持していれば、もしかすると勝利していたかもしれない。不運ではあるが、それでもケーンの退場は議論の余地がない。悪質というより杜撰なタックルで、ケーンはジェシー・クリエルに肩と頭を直接接触させた。レフェリーのウェイン・バーンズがイエローカードを出した瞬間から、レッドに格上げされることは必至だった」

 

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