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ラグビーW杯フランス大会に挑む日本代表メンバー
ラグビーW杯フランス大会に挑む日本代表メンバー

「現実的ではないと思っているかもしれないが目標は優勝」なぜラグビーW杯仏大会に挑む日本代表メンバーの発表が上限の33人ではなく30人に留まったのか…ジョセフヘッドの戦略を読み解く

 日本ラグビー協会は15日、東京都内で会見を開き、9月8日に開幕するW杯フランス大会に出場する日本代表最終登録メンバーの30人を発表した。主将に指名された姫野和樹(29、トヨタ)、リーチ マイケル(34、東京BL)らの経験者に加え、17人のW杯初選出者が選ばれ、また複数ポジションが可能の選手を重視するなどバランスの取れた顔ぶれとなったが、異例だったのが、登録可能の33人ではなく30人の発表に留めたこと。ロック、フランカー候補のケガの回復などコンディションをギリギリまで見極めるための措置で、残り3人は登録期限の21日までに発表される。

 「ただ僕らは(優勝)できると信じている」

 「今大会の目標は?」
 ジェイミー・ジョセフヘッドコーチがW杯フランス大会の最終登録メンバー30人の名を読みあげ、その後に会見に登壇した姫野主将ら4人が、そのストレートな質問に間髪入れずに、こう答えた。
「優勝です」
 副将に指名された流大は、4年前の日本大会で初めて8強入りするまでの過程に触れて言った。
「いま聞いた皆さん、ファンの皆さんも現実的ではないと思っていると感じます。ただ、僕らはできると信じています。2019年も誰も僕らが(予選プール2戦目で強豪の)アイルランド代表に勝てるとは思っていなかった。スコットランド代表にも勝って、全勝でベスト8に行くなんて、誰も想像できなかったと思います。僕らはその準備ができています。見ていてください」
 5月に発表した日本代表および候補選手の計46名から抜擢された30人。
 ジョセフヘッドコーチは、スピード感と独創性を活かして頂点を目指すと宣言した。
「ジャパンラグビーにはアイデンティティーがある。素早く、ボールを動かす。アタッキングマインドセットを持つ。…相手によって戦い方を調整する部分はありますが、世界でもユニークなジャパンラグビーをやることが大事です」
 2016年秋に発足した現体制にとって、今回は2度目のW杯となる。
 トニー・ブラウンアシスタントコーチが唱える混とん状態における組織的な攻め、国際基準のフィジカルバトルに適応できるかに加え、組織内の規律を守れるかも重んじられてきた。さらにジョセフヘッドコーチが強調したのは、「いくつものポジションをカバーできることが重要な基準」との観点だ。
 スクラム最前列の3つのポジション、接点から球を出すスクラムハーフといった専門職の色が濃いポジションに加え、司令塔のスタンドオフでも3名ずつを選出。その一方で、それ以外のポジションでは複数の位置を補えるメンバーを重視して選んだと述べる。
 確かに今年5月までのリーグワンで新人賞に輝いたセンターの長田智希はウイングの経験も豊富。ウイングに入ったセミシ・マシレワはキック力やハイボールの捕球にも定評があり、場合によってはフルバックのカバーも託されそうだ。
 さらに今年出番のなかった日本大会組のレメキ ロマノ ラヴァは、グラウンド外での貢献が大きいうえにスクラムハーフを除くバックスの全ポジションで戦える。
 万能性重視のコンセプトで人選がなされる中で意外な落選もあった。日本大会時のフルバックで、左足のキックが冴える山中亮平がメンバーから漏れた。
 6月中旬からの浦安合宿ではスタンドオフの練習もしており、両にらみもできそうではあった。しかしジョセフヘッドコーチ曰く、山中は「競争しなくてはならない」という立場にあった。
 本職のフルバックではウイング兼任の松島幸太朗が一番手と見られるなか、スタンドオフを本職とする松田力也、李承信、小倉順平との「競争」が生じたのだ。
 かねて指揮官が「いい選手であっても入らないという例は出てきます」と話していた通りの結末となった今回、W杯初選手となったのは現時点では計17人となる。

 

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