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岡田監督はコーチ会議を廃止した
岡田監督はコーチ会議を廃止した

【緊急連載】「ドアを閉めとけ!」日本一に輝いた阪神の岡田監督はコーチ会議を廃止していた…強いリーダー論と日本一を支えた組織のあり方

 阪神は2003年に故・星野仙一監督のもと優勝を果たしているが、岡田監督は、内野守備走塁コーチとして三塁コーチを担当していた。その年、星野監督も、コーチ会議を開いたのは一度だけだった。盟友の田淵幸一チーフ打撃コーチと2人でオーダーを決め、岡田監督は、ほとんどの試合で誰が出るのかを知らなかったという。
 独善的とも言えるが、コーチ会議を開き「みんなで決める」では、責任の所在があいまいになる。それは負けた時の言い訳にすぎない。監督は、それだけの責任を負う強いリーダーであらねばならない。企業でも、会議ばかりを開いている会社は、業績があがらない。
 スピードと決断。強い組織のリーダーに求められるのは、それだ。
 岡田監督が、コーチ会議を廃止した最大の理由だろう。コーチの意見を聞き、伝えたいことがあれば、個別に対話をすればいいだけの話。コーチ会議などいらないのである。
 しかし、岡田監督は試合前のミーティングにはすべて参加した。
 そこが「岡田の考え」を伝える場所だった。
 優勝へと突っ走った8月以降は、「なにもしゃべってへんよ」と言うが、広島とのCSファイナルでは「四球を嫌がってストライクを取ってくるからファーストストライクを狙っていけ」と指示した。阪神はシーズンでリーグ1位となる494個の四球を選び打線をつないだ。本塁打数84はリーグ5位だったにもかかわらず、得点555はリーグ1位である。広島のバッテリーが阪神のボールの見極め、仕掛けの遅さを逆手にとってストライクを先行させてくると見込んで、さらにそれを逆手に取った。その戦略はズバリとはまった。
 日本シリーズの第1戦では、難攻不落の山本を攻略するために「フォークを捨て、低めのストレートを狙え」と指示した。
 山本はフォークを見極められ、ストレートでストライクを取らざるをえないようなカウントに追い込まれて7失点した。
 岡田監督が、しばしば酒の席で、典型的な悪いミーティングの例として出す嘘のようなホントの笑い話がある。オリックス監督時代。ソフトバンク戦で、まだブレイクする前の2年目のギータこと柳田がスタメンに抜擢された試合があった。データはほとんどない。スコアラーは、ミーティングで「心配しないで大丈夫です。真ん中以外は打てません。どこ投げても大丈夫です」と話した。
 岡田監督は疑問に思ったが、勝負どころで柳田に打席に回ってきて、難しいフォークを見事にすくいあげられて逆転のタイムリーを浴びた。
「え?真ん中以外のボールを打ってるやん?」
 野手ミーティングでは、「高めのストレートは速いので気をつけて下さい。低めの変化球もよく落ちます。要注意です」と言う。
「打つとこ真ん中しかないやんか?」
 まるで吉本新喜劇だが、当時、長らく低迷していたオリックスは、ダメミーティングの典型のようなことしかできていなかったのである。

 

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