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岡田監督はコーチ会議を廃止した
岡田監督はコーチ会議を廃止した

【緊急連載】「ドアを閉めとけ!」日本一に輝いた阪神の岡田監督はコーチ会議を廃止していた…強いリーダー論と日本一を支えた組織のあり方

 阪神がオリックスとの日本シリーズを4勝3敗で制して日本一に輝いた。レギュラーシーズンで18年ぶりに“アレ”を果たし、38年ぶりに“アレのアレ”まで達成した。名実ともに名将となった岡田彰布監督(65)はいかにして阪神を変えたのか。緊急連載で知られざる背景に迫った。

「そんなんいらんやん」

 

 日本シリーズは「いかに切り替えるか」を試されたシリーズだった。
 3年連続の沢村賞投手、山本由伸を第1戦で攻略して7点を奪い8-0で勝利したが、第2戦は0-8で完敗。甲子園に戻った第3戦を4-5で落とすも、第4戦は大山のサヨナラ打で勝利、第5戦も森下の殊勲打もあり、山﨑颯一郎、宇田川のオリックスが誇る強力な中継ぎ陣を打ち砕いて6-2で勝利し、連勝で王手をかけ「集大成を見せる」と岡田監督が京セラドームに再び乗り込んだ。 だが、第6戦は山本に1失点完投勝利を許して逆王手をかけられた。今季防御率4.57と不安定だった青柳と第2戦で6回無失点と封じこまれていた左腕エース宮城とのマッチアップに不利の声が多かったが7-1で快勝して日本一に輝いた。
 実は、その切り替えを生み出す組織の仕組みが岡田阪神にあった。驚くなかれ、岡田監督は、矢野燿大監督時代に行っていたコーチ会議を廃止。今季、レギュラーシーズン、CSファイナルステージ、日本シリーズを通じて一度もコーチ会議を開かなかったのである。
「そんなんいらんやん。なんでやる必要あんのん?」
 理由はいくつかある。
 そのひとつが「切り替え」だった。 
 オーナー報告後の会見で岡田監督は、「こんなに連敗しない年はない。1985年でさえ
6連敗が3度あった」と振り返ったが、それでも3連敗は、5度あり、横浜DeNAには敵地で同一カード3連敗も喫していた。
 敗戦後に、コーチ室のドアを開けたまま、コーチ陣が頭を抱え、暗く落ち込んでいる姿をみかけたことがあった。
 岡田監督は激怒した。
「ドアを閉めとけ!コーチがそんな姿を見せたら選手がどない思うんや。終わった試合を落ち込む必要なんてない。切り替えたらええんや」
 まして敗戦後にコーチ会議でも開いていれば選手はどう思うか。
 矢野監督時代には、毎試合後にコーチ会議が開かれ、そこで翌日のオーダーが決められてすぐにロッカーに貼りだされていた。データなどの見直しを含めた準備という点では、プラスかもしれない。だが、岡田監督は、「それでは選手のモチベーションが上がらない」とマイナス面を危惧して、当日の試合前に選手に伝える方式に変更した。
 試合前の練習が始まる前に、まず平田ヘッドと水口打撃コーチがスタメンの原案を具申、それを見た岡田監督が、「それでええよ」「ここはちゃうやろ」と最終決断するのだが、シーズン終盤には「当日の練習で調子のいい悪いもあるやろ」と、練習終了後のオーダー決定を求めた。ほぼメンバーは固定されていたが、それほど繊細に神経を使いスタメンを決めていた。

 

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