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JFLアトレチコ鈴鹿の三浦泰年監督が今季の開幕を来月10日に控えた段階で電撃辞任した
JFLアトレチコ鈴鹿の三浦泰年監督が今季の開幕を来月10日に控えた段階で電撃辞任した

なぜJFL鈴鹿の“キングカズ兄”三浦泰年監督は開幕を来月10日に控えた段階で電撃辞任したのか…背景に尾を引くパワハラ問題か

 日本フットボールリーグ(JFL)のアトレチコ鈴鹿(旧鈴鹿ポイントゲッターズ)は21日、三浦泰年監督(58)が今月17日付で辞任したと発表した。2021年7月にゼネラルマネージャー兼任で監督に就任した三浦氏は、翌2022シーズンには弟の元日本代表FW三浦知良(56、現ポルトガル2部オリヴェイレンセ)を期限付き移籍させて話題となったが、昨シーズンはクラブ内での暴力行為が認定され、開幕から4試合のベンチ入り停止処分を科されていた。新シーズンの開幕が来月10日に迫るタイミングで、なぜ三浦監督は電撃辞任したのか。

 経営陣が刷新したばかりだったが…不可解なタイミング

 契約を2年間残していた鈴鹿の三浦監督が電撃辞任した。
 鈴鹿は21日夕方にクラブの公式HP内の「お知らせ」欄を更新。三浦監督が今月17日付で辞任したと発表するとともに、同監督のコメントを掲載している。
「この度、一身上の都合によりアトレチコ鈴鹿クラブの監督を辞任することになりました。昨年より自らの指導方法を振り返り、外からサッカーを見つめ直すべきか悩んでおりました。そのような時期、友人である斉藤氏がチームのオーナーとなり、一旦は監督を続けるべきと思いましたが、話し合いを重ねて行く中で、このチームの成長には自分が監督を続投することは相応しくないと判断し、シーズンが始まる前に辞意を伝えた次第です」

 新シーズンの開幕を目前に控えたタイミングでの辞任は不可解だ。
 コメントのなかで言及した「昨年より自らの指導方法を振り返り――」という部分が背景にあるのだろうか。
 日本サッカー協会(JFA)が設置している「暴力根絶相談窓口」に、三浦監督によるパワーハラスメント行為が内部告発されたのは2022年12月上旬だった。クラブの顧問弁護士による内部調査が不十分だと不満を抱き、外部の第三者委員会に委ねるはずの調査も進んでいなかった状況で、被害を訴えた一部選手やスタッフが最終的な手段を選んだ。
 内部告発を受けて、JFLの規律委員会がアンケート形式の事実確認文書を鈴鹿に送付。回答をもとに同委員会が独自調査を進めた結果、試合中のロッカールームで暴力行為があったと認定され、昨シーズンの開幕から4試合のベンチ入り停止処分が科された。
 さらに練習場で暴言、暴行などの不適切な言動も認定されてけん責処分も科された。騒動の責任を取る形で、兼任していた鈴鹿の運営会社の代表取締役およびゼネラルマネージャーをすでに退任していた三浦監督は、JFLに対して不服申し立てを行わずに処分を受け入れ、さらに鈴鹿側に対して年俸10%の自主返納を申し出て了承されている。
 第5節から三浦監督が復帰した昨シーズンの鈴鹿は、最終的に10勝6分け12敗と負け越し、15チーム中で9位の成績で終えている。処分後に引き続き指揮を執った理由として、鈴鹿はスポーツコンプライアンスオフィサー講義を受講した同監督の意識に変化が見られ、さらに残った選手やスタッフ陣との関係性が良好な点をあげていた。
 鈴鹿は2022シーズンに三浦監督の実弟、元日本代表FWのカズが横浜FCから期限付き移籍して大きな注目を集めた。しかし、元執行役員との間で生じていたトラブルをJFL規律委員会が独自に調査した結果、過去に八百長未遂行為があった不祥事が発覚。同年4月に最上部団体の日本サッカー協会(JFA)から罰金500万円などの処分が科された。
 さらに元執行役員に対する不適切な金銭の支払いなど、クラブのガバナンス体制に大きな不備があるとJFAやJFLから指摘されていた鈴鹿では昨年10月、自動車部品メーカー及び工業系商社の株式会社協同(本社・東京都新宿区)が、運営会社の発行済み株式をすべて取得。新たな筆頭株主のもとで抜本的な組織改革に着手した。

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