
RIZIN「男祭り」朝倉未来の復活劇はRフェザー級新王者が批判したように本当に「つまらなかった」のか…鈴木千裕の長所を消す戦略的なスタイルでドクターストップに追い込むTKO勝利
試合後、放送席に呼ばれた平本は「鈴木千裕がなにをしたかったのか謎。朝倉未来も全然強くない」と酷評した。メインでクレベルを右ストレートの一撃でわずか62秒でマットに沈めて、RIZINフェザー級のベルトを奪ったシェイドゥラエフは、「つまらない試合だった」と斬って捨てた。面白いか、つまらないかの評価基準は多様だが、朝倉が「勝ち」に徹して、トップポジションをキープする時間を長く作り、1本勝ち、あるいは、KO勝利にシフトするより、鈴木の長所を消すことに総力を傾けた戦略的勝利が、彼らの目にはそう映ったのだ。
今回、朝倉が選択したファイトスタイルに賛否はあるだろう。だが、東京ドームのファンは、朝倉の執念に共感した。ある意味それはプロとして正解であり、「つまらない」の言葉は「キラー」朝倉への褒め言葉とも言える。
榊原CEOも「千裕のパフォーマンス以上に朝倉のパフォーマンスが凄かった。いろんな思いが去来した試合。強い未来が帰ってきたと十分に感じ取れた。真っ向勝負で立ち向かう打撃からのテイクダウン。戦略を持って長いラウンドをまたいだ試合を見ることができた」と評価した。
そして朝倉の復活に“ケチ”をつけた2人との因縁がスタートした。
平本の怪我で、今回の再戦が流れた朝倉はリベンジの意思を問われ「もちろんありますよ」と答え、こう挑発した。
「鈴木選手の方が強いと思ってますけど、ボコボコにしたい。(今回)成長したところを見せられた。もう一回やったら勝てると思っているので自信ありますね」
平本も「(再戦はやってもやらなくても)どっちでもいい。同じ結果になると思います」と負けていなかった。
またもう1人再戦を目論んでいたクレベルの敗戦に「悔しい。本当はクレベルとやりたかった」と、ショックを受けながらも、「ベルトに向かっていきたい」と王座奪回にフォーカスしている考えを示した。
敗れたクレベルがダイレクトリマッチを要望。シェイドゥラエフも「明日にでもやっていい」と、答えているが、誰も近づけないほどの凄みを見せたキルギスの怪物との対戦も、受けて立つ意思を明かした。
「よくアンチが逃げるなって言うが、逃げたことは1回もない。ビビってるとかないので。いくらでもやりますよ」
朝倉のプライドが見え隠れした。
榊原CEOは明言しなかったが、7月に予定されている「超RIZIN.4」のカードから朝倉は外せないだろう。延期された平本との再戦は、まだ手術した怪我の回復に時間が必要で、平本自身が「たぶん大晦日にやると思います」と語っているように、大晦日のカードになると予想される。
では「強くなった」朝倉は次に誰と戦うのか。フェラーリの自損事故の当て逃げ事件を起こした禊マッチで体重差28キロ差を克服してシナ・カミリアン(イラン)と引き分けた皇治(TEAM ONE)かからも「7月に相手をしたってもいい。MMAルールはちょっときついけど、立ち技ルールなら話にならん」とのラブコールが届いた。
復活したカリスマが言う。
「ここからが新しい章の始まり。また昔のように朝倉未来って強いって試合を続けていく」
RIZINと朝倉の“未来”が面白くなってきた。