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21戦無敗のWBC世界ライト級王者シャクール・スティーブンソン(左)が26歳で引退を表明したが、米メディアは疑念を投げかけ、SNSでは「引退詐欺だ」の声(写真・AP/アフロ)
21戦無敗のWBC世界ライト級王者シャクール・スティーブンソン(左)が26歳で引退を表明したが、米メディアは疑念を投げかけ、SNSでは「引退詐欺だ」の声(写真・AP/アフロ)

「引退詐欺だ!」井上尚弥との対戦も要望した無敗王者シャクール・スティーブンソンの引退表明に米メディアやファンが疑念の声

 プロボクシングの3階級制覇王者でWBC世界ライト級王者のシャクール・スティーブンソン(26)が30日(現地時間29日)、自身の公式SNSで突然、引退を発表した。“史上最恐”と評判のWBA世界同級王者ガーボンタ・デービス(29、米国)らビッグネームとの対戦の可能性がある21戦無敗の天才肌の王者の電撃表明にも米メディアやファンの反応は「引退詐欺だろ」と冷ややかで、その決断に疑念が投げかけられた。スティーブンソンは、3階級下のスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(30、大橋)に対戦を呼び掛けるなどして話題にもなった。

「井上よ。階級を上げてオレと戦いに来い!」

 突然の引退表明だった。
 スティーブンソンが自身のXに「私はボクシングというスポーツから正式に引退します。自分の技術を磨き、次世代が偉大になり、彼らが夢を追うのをサポートするために永遠にジムにはいますが、私は、この意気地のないボクシングというゲームに興味はありません」とポストした。
 スティーブンソンは2016年のリオ五輪銀メダリストで、ノーガードのまま、打たせずに打つスピーディーなボクシングスタイルが、全盛期の元5階級制覇王者のフロイドメイウェザージュニア(米国)に似ているため、“メイウェザー二世”として騒がれた。プロ転向13戦目でWBC世界フェザー級王座を獲得、その後、スーパーフェザー級に上げて、WBC、WBOの2団体統一王者となった。昨年4月にはWBC世界ライト級の挑戦者決定戦で吉野修一郎(三迫)を6回TKOで下し、11月に同王座決定戦で判定勝利して3階級制覇に成功したが、ほとんど手数の出ない“塩試合”となったため会場はブーイングに包まれ、多くの批判を浴びていた。
 スティーブンソンは、SNSへの投稿や、試合前会見などでのビッグマウスでも知られており、昨年10月には、「井上尚弥に階級を上げてオレと戦いに来いと伝えてくれ」と発言して話題を呼んだ。
 スティーブンソンは、「井上はとんでもないファイターだ。正直な話、最近、私が最も注目しているファイターの一人だ。技術、スピード、パワー、すべてにおいて素晴らしいけど、ちょっと小柄すぎるかな」とも話していた。井上は来年にはフェザー級へ階級を上げる可能性があるが、ライト級のスティーブンソンとは2階級差があり、実現は難しいだろう。
 そのスティーブンソンの引退表明を米の報道各社も無視するわけにはいかなかったが、反応は冷ややかだった。米老舗「リング誌」は無視。ボクシング専門サイトの「ボクシングニュース24」は、「ファンは、テオフィモ・ロペスの短かった引退期間よりも長く続くのか疑問に思っている」と疑問を呈し、英国を中心に展開しているスポーツラジオ局のトークスポーツも「何百万ドルという大金が動くビッグファイトを前に、永遠に引退すると信じている人は誰もいない」と否定的に報じている。

 

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