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井岡一翔とWBA王者のマルティネスが無事調印式を終える(写真・山口裕朗)
井岡一翔とWBA王者のマルティネスが無事調印式を終える(写真・山口裕朗)

「これが最後になるかもしれない」36歳の井岡一翔の壮絶な覚悟と戦う理由…不利の予想の中でWBA王者に舐めた態度を取られた元4階級制覇王者が胸に秘めた思いを明かす

 スーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(大橋)が劇的な逆転TKO勝利でトリを飾ったメキシコの記念日「シンコ・デ・マヨ」ウィークの先陣を切るニューヨーク・タイムズスクエアでのビッグマッチで“問題児”ライアン・ガルシア(米国)からダウンを奪い“番狂わせ”の判定勝利をおさめたローランド・ロメロ(米国)はサラストレーナーが教えている3階級制覇王者。チームサラスには“勢い”がある。
 そして井岡はボクサーにとって重要な戦う意義について熱弁した。
「関係者の皆さん、応援していだける方々への感謝を胸にリングに上がって必ず結果として勝利し、チャンプに返り咲くことが少しでも恩を返すことになる。自分のためでもあるが、この試合に向けてサポートしてもらった方々が何を一番喜ぶかと言えば勝つこと。応援してもらっている方々のために勝ちたいという気持ちが強い」
 自分のための戦いは、3階級制覇を果たし一度引退した2017年の大晦日までで、4階級制覇を目指して復帰してからは「自分のためより応援していただいている方のための戦い」に変わっているという。
 前夜は、減量の最中に1時間以上の異例のTikTokライブを行った。妻の恵美さんが聞き手になっての本音トーク。5階級制覇となるバンタム級挑戦への思いや、引退後の未来図に至るまでを語り尽くしたが、そこにも、今回の試合にかける壮絶な覚悟が秘められていた。
 井岡が明かす。
「現役でいつまでできるかわからない、これが最後になるかもしれない。だから現役でやれる間に、できる限りファンの方々に直接、感謝の思いだったり、自分の気持ちというものを伝えたい。記者会見では、例えば本郷さんというフィルター通じて、ファンに伝えることになるじゃないですか。でも、ああやって時間を作った方が、そこに生産性ができる」
 井岡の引退の定義は、「求められなくなれば終わり」というもの。36歳。王者に返り咲くと、日本人史上最年長記録となるが、負ければ、もうリングに上がるチャンスがなくなる可能性だって否定できない。だから、このリベンジは絶対に果たさねばならない。戦う理由を持つボクサーは強いのだ。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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