
日本人独占のバンタム級に激震!WBA王者の堤聖也が怪我で休養王者へ…7月に暫定王者バルガスと比嘉大吾が世界戦か
WBA世界バンタム級王者の堤聖也(29、角海老宝石)が目の負傷でWBAから指令されていた暫定王者のアントニオ・バルガス(28、米国)との王座統一戦ができなくなり休養王者となることが13日までに明らかになった。両者は7月末に対戦する方向で交渉が進んでいた。堤の辞退で暫定世界戦に切り替わることになり、対戦候補として、前王者の井上拓真(29、大橋)と、堤と2月に引き分けた比嘉大吾(29、志成)の2人が候補にあがっているが、井上も怪我が完治していないため、比嘉が3戦連続での“世界戦”に挑むことが濃厚となっている。
元王者の井上拓真も怪我が完治しておらず
日本人が独占しているバンタム級戦線に激震が走った。WBA王者の堤が目の負傷で7月に予定されていた暫定王者との指名試合をクリアできず、休養王者となることが明らかになった。堤サイドの関係者が、「指令されていた王座統一戦を行う予定で進めていたが負傷で難しくなった。WBAに申請して休養王者の扱いになる。暫定世界戦の勝者と、秋に王座統一戦を行う方向になると思う」と明かした。
堤は、2023年12月のモンスタートーナメント決勝戦を兼ねた日本バンタム級タイトル戦で対戦相手の穴口一輝さんが亡くなるという悲しい出来事の当事者になったが、穴口さんの思いも拳にのせて、2024年10月にWBA世界同級王者の井上拓真に挑戦。ロープダウンを奪うなどして3-0判定勝利を収めて悲願の世界ベルトを手にした。今年2月の初防衛戦では、元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾と対戦し、9回にダウンを奪われるものの、その回にダウンを奪い返すという劇的な展開でドロー判定に持ち込みV1に成功した。
WBAは3月26日、堤に暫定王者バルガスとの王座統一戦を指令。堤陣営は7月末にバルガス戦を行う方向で交渉を進めていた。だが、相次ぐ激闘の影響が、堤の肉体に異変を生じさせてしまったのか、王座統一戦は見送られることになった。
WBAでは、「医学的、法的、その他の正当な理由で一定期間内にタイトルを防衛することができない場合、戦線を離脱した王者を休養王者と指定する」というルールがあり、防衛戦のできない堤はその休養王者となる方向。
堤は、3月31日に行われた2024年度の年間表彰式で「殊勲賞」を受賞。
「僕は強くなっている。強いチャンプとやっていきたい」と語り、その表彰式で、スーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(大橋)がぶちあげたWBC世界バンタム級王者、中谷潤人(M.T)とのスーパーマッチを「ぶっ壊したい」とも口にしていた。その後、WBO世界同級王者、武居由樹(大橋)に統一戦を呼び掛けるなどもしていたが、まずは治療に専念することになった。
WBAでは、休養王者が設定された場合、暫定王者への指名試合を指令するため、現在、7月に予定されていた王座統一戦が、急きょ、暫定世界戦に切り替わる方向で調整が進んでいる。正当な理由があれば、JBCも暫定世界戦を認可している。