
井岡一翔とマルティネスの5.11再戦が決定…米報道
プロボクシングの元4階級制覇王者の井岡一翔(35、志成)とWBA世界スーパーフライ級王者フェルナンド・マルティネス(33、アルゼンチン)の再戦が5月11日に日本で開催されることが決定した。ESPNのサルバドール・ロドリゲス記者がXにて報じたもの。両者は、昨年大晦日に再戦予定だったがマルティネスのインフルエンザ感染により、試合前日に中止となり、両陣営は、再度この世界戦を実現するための交渉を進めていた。
WBC王者ジェシー“バム”ロドリゲス陣営が横やりも
前代未聞のインフルエンザによる前日中止という事態に追い込まれていた井岡とマルティネスの再戦がやっと決まった。ESPNのロドリゲス記者が両者の写真を並べて「再戦。新しい日付は5月11日」とXにポストしたもの。井岡陣営は「4月下旬から5月上旬に再戦を行う」と一貫して主張してきていた。
井岡とマルティネスの再戦に関しては、WBC王者のジェシー“バム”ロドリゲス(米国)のプロモート権を持つマッチルールが横やりを入れてきていた。マッチルームは、バムとの2試合の大型契約を結んでおり、マルティネスとの統一戦を熱望していた。一部ではマッチルームが、井岡サイドのオファーよりもファイトマネーを積んだとの報道もあったが、マネー競争になることはなく早い段階で合意に達していたという。マッチルームの頼りは、サウジアラビアの「リヤドシーズン」だが、総合娯楽庁トゥルキ・アラルシク長官が、いまのところ軽量級に興味を示しておらず、実際のところ、バム、マルティネスの両者を納得させる資金を調達できなかったと見られる。
昨年の大晦日に井岡と再戦するために11日前に来日したマルティネスは、当時流行していたインフルエンザに罹患。直前までリングに上がることを模索したが、病状が回復せず、前日計量の日に中止を申し入れた。
マルティネス陣営のマネージャー兼トレーナーのロドリゴ・カラブレッセ氏は、その際、会見で「申し訳ない。回復すると最後まで思っていた。この世界戦は重要で選手も努力していた。だが、私のボクサーはコンディションを作れなかった」と謝罪。「もちろん井岡とやりたい」と、仕切り直しの再戦を熱望していた。
井岡陣営は、違約金などを要求しなかったが、マルティネス陣営は、大晦日の興行に経済的に大きな損害を与えたことを申し訳なく考えており、ビジネスで割り切ってバムとの統一戦と井岡との再戦を天秤にかけることはなかった。
マルティネス側も、IBF王座を返上してまで、井岡との再戦を優先するほど、このマッチメークに魅力を感じていた。
井岡は、昨年7月7日に自身のWBAのベルトと、マルティネスのIBFのベルトをかけて統一戦に挑んだが、0-3判定で完敗した。パワーと手数で積極的に打ち合いにきた井岡を封じ込んだマルティネス陣営としては、再戦でも返り討ちにすることに自信を持っているのだろう。
だが、マルティネスへのリベンジに自信を持っているのは、井岡も同じ。井岡は過去に3度、再戦を経験しているが負けたことがない。いずれも、ボクシングIQと世界でもトップクラスのスキルを活かした井岡の戦略が功を奏してきた。
井岡はマルティネスとの再戦を前に「何度も立ち上がる姿を証明したい。必ず王座に返り咲く」との決意を口にしている。