
超本気!井上尚弥に負けたフルトンを教訓に6.19佐々木戦の14日前に来日したWBOウエルター級王者ノーマン…自慢した恐怖の左拳の“KOダコ”と手術跡の意味
佐々木は3月30日にラスベガスを訪れて、ノーマンのデリック・クエバス(プエルトリコ)との初防衛戦を観戦し、3回TKO勝ちすると、試合後の控室で挑戦状を叩きつけ、英文を自ら読み上げた。ノーマンは、その佐々木の態度と、挑戦状が英文で書いてあったことなどを好意的に受け止めた。
「彼は私をリスペクトして、謙虚に自分の言葉を使って語った。彼のボクシングに対する献身、真面目な姿勢を受け止めた。嬉しいことだったしいい試合になる」
日本人でウエルター級の世界ベルトに挑んだのは、辻本章次(ヨネクラ)、龍反町(野口)、尾崎富士雄、佐々木基樹(いずれも帝拳)の4人だけ。国内での世界挑戦は、1989年12月にWBA世界同級王者のマーク・ブリーランド(米国)に挑んだ尾崎以来36年ぶりで、ウエルター級王者の来日も36年ぶりということになる。
そしてまだウエルター級に日本人世界王者は誕生していない。
「佐々木のように自分の力を証明して強さを見せれば、こうやってウエルターでもチャンスを得ることを彼は見せている」
紳士的にそう語ったノーマンは「彼のスタイルは好きだ。力も素晴らしい。ファンの求めるもとを見せるという点は自分とも共通しているからいい」と佐々木を評した。
実は、WBAとIBFの王座を統一したジャロン・エニス(米国)からも統一戦のオファーがあった。オファーは150万ドル(約2億1000万円)とも、170万ドル(約2億4000万円)とも言われる。それを蹴って佐々木のオファーを受けた理由は何なのか?その点を聞くと、横で父が露骨に嫌な表情を浮かべて、ノーマンも「彼のことは関係ない。自分は佐々木尽と試合をするため、ここにきて、彼と戦いたいと思ったからこの試合を受けたんだ」と言い切った。
米メディアによると、佐々木に勝つ前提で、エニスとプロモート契約をしているマッチルームのエディ・ハーン氏が次戦での対戦契約を求めてきたが、ノーマンは、佐々木戦に集中するために応じなかったという。
ただ佐々木が記者会見で語った「むちゃくちゃ勝算がある」という言葉を伝えられると、王者の自負をかいまみせた。
「自分自身はここに来るため、ここに君臨するために、人生の中でも大変な痛みも経験して、それを乗り越えてきた。彼は、チャンピオンになる自信があると言ったようだが、私と同じクオリティ、それ以上のものを持ってこなければいけないことをわかって欲しい」
そして自らの両手を差し出して、こう続けた。
「オレの手を見てもらえればどれだけ努力を重ねてきたかかがわかると思う。その努力で獲得したものを手放してこの国を去ることはしないと決めている」
