
「阪神がCSで勝率5割を切ったチームに負けたらリーグ優勝の意義や価値はどうなるんだ?」球界大御所が13ゲーム差をつけマジック「16」で独走中タイガースの“その先”に警鐘鳴らす
新型コロナの蔓延によって試合数が短縮された2020年はセ・リーグが中止、パ・リーグが1、2位のファイナルステージのみを実施することになったが、ここまで、リーグ優勝チーム以外の2位、3位チームが“下剋上”を果たしたのは、セ・リーグで4度、パ・リーグで3度ある。
セ・リーグは2007年に2位の中日が3位の阪神、優勝の巨人を撃破して、日本シリーズでも日ハムを下して日本一になった。2014年には2位の阪神が、3位広島、優勝の巨人を破り、また2度ある3位チームのCS突破は、いずれも横浜DeNAで、2017年に2位の阪神、優勝の広島を下し、昨年は2位の阪神、優勝の巨人を破り、日本シリーズでもソフトバンクを4勝2敗で下して“下克上日本一”を果たした。
パ・リーグは2010年に3位のロッテが2位の西武、優勝のソフトバンクを下して日本シリーズでも中日を破り、CS導入後、初めて3位チームからの“下克上日本一”を成し遂げている。また2018年には、2位のソフトバンクが3位の日ハム、優勝の西武を下してCSを突破し日本シリーズで広島に勝ち、翌年も同じく2位のソフトバンクが、3位の楽天、優勝の西武を破って、日本シリーズで巨人を下してV3を果たした。
ちなみに3位からの“下克上日本一”に成功した2010年のロッテのレギュラシーズンの成績は、75勝67敗2分 勝率.528で、優勝したソフトバンクとのゲーム差は2.5差。昨年の横浜DeNAの同成績は、71勝69敗3分 勝率.507で、なんとか勝率5割をキープしたが、優勝した巨人とのゲーム差は11.5差あった。
広岡氏は、「CSを続けるのであれば、例えば、勝率5割を切ったチームは出場権を失うことや、10ゲーム以上が開いての優勝の場合は(ファイナルステージでの)アドバンテージを2勝にするなどケースに応じて優勝チームがさらに有利となるルールに見直せばいい」と提案した。
現在のCSはファーストステージが3試合制で2勝先勝。引き分けで「1勝1敗1分」或いは「0勝0敗3分」と同じ勝利数になった場合は2位チームが勝者となる。2位チームに1勝のアドバンテージはなく本拠地開催権だけだ。
ファイナルステージは6試合制で4勝先勝。引き分けで同じ勝利数になった場合は、リーグ優勝チームがCS優勝となる。またリーグ優勝チームに1勝のアドバンテージが与えられる。
広岡氏はそのアドバンテージの見直しも含めた新しいCSルールが必要ではないか、と訴える。パ・リーグはソフトバンクと日ハムが激しい優勝争いをしているが、セ・リーグは、阪神の独走状態。リーグ優勝の価値を守るためにも、19年目に突入したCSのルール見直しは必要なのかもしれない。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)